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電子書籍を選ぶ前に知っておきたい5つのこと 第4回

実は重要! よくわかる電子書籍フォーマット規格!!

2011年01月27日 22時00分更新

文● 海上忍

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AZW/MOBI、Topaz(Kindle)

 Amazonの電子書籍プラットフォーム「Kindle」は、2つの専用電子書籍フォーマットに対応している。ひとつが「AZW」、もうひとつが「Topaz」だ。ハードウェアとしてのKindleそのものはバージョン2(Kindle 2)からPDFをサポートしているが、、Amazonで販売されている電子書籍タイトルは、AZWかTopazのいずれかとなっている。

日本語フォントを収録し、あとは縦書き対応を待つばかりの「Kindle」(写真はKindle 3)

 AZWは、仏Mobipocket(2005年にAmazonが買収)が開発したフォーマット「MOBI」をベースとしている。DRMのサポートが追加されたことと拡張子が異なることを除けば仕様に違いはほとんどなく、Kindle端末でもMOBIファイル(.mobi/.prc)を閲覧できる。

 表示はリフロー(端末や閲覧ソフトの設定に応じて画面あたりの文字数を自動調整する可変レイアウト)を基本とし、ハイパーリンクでウェブにアクセスすることが可能。Mobipocketと同様、HTMLをソースに制作されることが一般的だが、EPUBをAZWに変換してKindleで読むというユーザーも多い。

 2008年後半に投入された新フォーマット「Topaz」(.tpz)は、フォントの埋め込みをサポート。そのぶんAZWに比べファイルサイズが大きく、表示速度に劣る傾向がある。AZWの作成用には、HTMLを素材として手軽に作成できるツール「KindleGen」が登録の必要なしに無償提供されているが、Topaz用は一般公開されず契約を交わした企業に限定されている。

 Kindleは、専用端末以外にもWindows/Mac OS Xやスマートフォン(iOS/Android)上で動作する閲覧ソフトを無償配布している。読者情報や読んでいる途中のページ数は同期されるため、Windows/Mac OS X用ビューワーで読んだ続きをiPhone/iPod touch/iPad/Androidで読む、という使い方も可能だ。この機能はフォーマット側でサポートされているわけではないが、どこでも買えるし読めるという、Kindleのポリシーを支える重要な要素となっている。

WindowsやMac OS X、iOS/Android、専用端末などで、場所を選ばず読書できる点がKindleの強み(画面はiPhone版)

EPUB

 AppleのiPad/iPhoneやGoogle eブックストアなどが採用する「EPUB」は、電子書籍関連企業で構成される米国の標準化団体IDPFが策定を進める電子書籍フォーマット。ウェブで実績のある技術を電子書籍に転用し、XML/XHTMLをベースにCSSでレイアウトを行なうことで、電子書籍としての体裁を整えることが特徴だ。ロイヤリティーのないオープンなフォーマットであるうえ、Apple、Barnes & Noble(Nook)、Google、ソニー(Reader)など多数の企業が対応していることもあり、世界に向けて発信できる電子書籍フォーマットのひとつとされている。

Appleが「iBooks」でEPUBをメインの電子書籍フォーマットとして採用すると発表、一気に注目が集まった

 表示はリフローが前提で、表示装置の違いによる制約は少ない。ウェブの技術をベースとしているうえ、欧米のメンバーを中心にフォーマットの仕様が固められた経緯から、現行の仕様(EPUB 2.0.1)では横書きなど日本語の組版に欠かせない機能のいくつかがサポートされていない。

 ただし、今年前半にも勧告される予定の次バージョン「EPUB 3」では、縦書きがサポートされる。日本人メンバーを中心に構成されるIDPF内のグループ「Enhanced Global Language Support sub-group」(EGLS)の働きかけにより、縦書きを可能にする2つのライティングモードがCSS 3に採用されることが決定したからだ。禁則処理や傍点についても対応される予定で、日本語のサポートは大幅に向上する。

 EPUB 3では、HTML5の機能が多く採用される。ルビの表示や動画の埋め込みは、HTML5で規定されているものだ。

HTMLとCSSというウェブの技術を生かして制作できるところが強み(画面はオーサリングツール「Sigil」)

(次ページへ続く)

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