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電子書籍を選ぶ前に知っておきたい5つのこと 第3回

主要携帯キャリア動向—主戦場はスマートフォンと専用端末へ

2011年01月26日 16時00分更新

文● 小山安博

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スマートフォン向け電子書籍への注目

 米国では電子書籍を読める高機能な携帯電話はなく、2006年に米SonyがSony Readerを発売、そして2007年に米AmazonのKindleが登場したことで一気に電子書籍市場が拡大していった。

 特に、書籍のオンライン販売を行なうAmazonが約75万冊といわれる豊富な電子書籍を用意した点は大きい。さらにMVNO(仮想移動体通信事業者)として、3G通信を使った利用料を無料にして、いつでもどこでも電子書籍を購入できる環境を構築したのもポイントだ。

 また米Appleから登場したiPhone/iPod touch、そしてiPadがこの電子書籍の流れを決定づけた。iPhone/iPod touch、iPad向けにアプリの形で電子書籍や電子雑誌がいくつも登場したほか、Apple自身も電子書籍ストアとしてiBookstoreをスタートした。

 主にテキスト系電子書籍を配信するKindleやSony Readerに対して、iPhone/iPod touch/iPadでは、雑誌やコミック、マルチメディアコンテンツなども配信され、電子書籍の普及が加速している。

 それに対する日本は、フィーチャーフォン向け電子書籍配信に続き、iPhone/iPod touch/iPad向けに電子書籍を配信する動きが出版社から出てきており、PC向け電子書籍配信を行なう各社が取り組みを進めている。

 そうした中、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルがAndroid端末への注力を進めており、これまで公式サイトごとに電子書籍を配信していたのに対して、スマートフォン向けにこれら3キャリアが主導して電子書籍を配信する電子書籍ストアを開設しようとしている。

NTTドコモ

 NTTドコモは、2010年8月に大日本印刷と提携して電子書籍ビジネスに参入することを発表した。その後2010年12月には、大日本印刷の子会社であるCHIグループとの3社で、紙の書籍と電子書籍を同時に取り扱う「ハイブリッド型総合書店」を運営することに合意し、共同事業会社として「トゥ・ディファクト」(2Dfacto)を設立した。

 2011年1月には、共同事業会社が電子書籍ストアとしての「2Dfacto」を開設しており、12日からサービスをスタートさせている(関連記事)。2Dfactoでは、大日本印刷傘下のオンライン書店「ビーケーワン(bk1)」ほか、大手書店「丸善」、「ジュンク堂」、「文教堂」などと連携し、紙の書籍も購入できるようにしたのが特徴で、電子と紙で購入履歴を一元化。共通ポイントの仕組みなども構築する計画。サービス開始時の電子書籍数は2万点で、今春までに10万点に拡充する方針だ。

「2Dfacto」はアプリの形になっており、まずドコモマーケットから専用アプリをダウンロードする。そのアプリ内で実際の電子書籍を購入する

 電子書籍閲覧ソフトは、電子書籍フォーマットとしてXMDF、.bookに対応するほか、セルシスとボイジャーによる統一フォーマット「BS Format」を読み込める総合電子書籍ビューワー「BS Reader」を利用できる。

 決済方法は、当初クレジットカードとWebMoneyのみの対応。2月以降、spモードのコンテンツ決済サービスを利用する形で、携帯電話料金と合わせた支払いが可能になる予定だ。

 2011年中には、複数の端末で同一の電子書籍を閲覧できる機能や、しおりやマーカーなどを複数端末で共有する「sync」(シンク)機能も提供する。対応端末はドコモのスマートフォン・タブレット端末、電子書籍端末で、「Xperia」、「GALAXY S」、「GALAXY Tab」、「LYNX 3D」、「REGZA Phone」、「Optimus chat」、「ブックリーダー SH-07C」をサポートする。

KDDI(au)

 KDDI(au)は、大日本印刷と並ぶ凸版印刷と提携。ソニーと朝日新聞社を含めた4社で、電子書籍配信事業を行う準備会社を7月に設立。11月には実際の事業会社としてブックリスタを設立した。

 このブックリスタを利用したKDDIの電子書籍配信サービスが「LISMO Book Store」だ。当初は電子書籍専用端末「biblio Leaf SP02」向けに配信を行い、当初2万点、11年度中に10万点まで書籍を拡充する。KDDIでは、今後ほかのスマートフォンにもサービスを対応させていく考えだ。

電子書籍専用端末「biblio Leaf SP02」

「biblio Leaf SP02」から見た「LISMO Book Store」のイメージ。約2000点の電子書籍を無料ダウンロード可能で、100点はあらかじめ「biblio Leaf SP02」に収録している

PC向け「LISMO Book Store」サイト

 決済については、「auかんたん決済」を利用することで、KDDI携帯電話の利用料と合算して請求される。

(次ページへ続く)

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