3D CGの作成からゲームまで、トータルに速い!
CPU単体でのベンチマークテスト結果などはほかの記事を読んでいただくとして、ここではトータルでの性能を見ていきたい。Windowsエクスペリエンスインデックスの値からも、ばかっ速いのは分かるのだが、総合ベンチマークテスト「PCMark Vantage」のトータル値は18767、ここでもHDDスコア44608が目立っていた。
PCMark Vantage 32bitのスコア | |||
---|---|---|---|
PCMark | Memories | TV and Movies | Gaming |
18767 | 12473 | 7474 | 19297 |
Music | Communications | Productivity | HDD |
19229 | 17054 | 21633 | 44608 |
総合ベンチマークテストをもう1本、「CrystalMark」の結果も載せておく。このテストのメモリーとHDD指標はアクセス時間の短さ示すのだが、HDD(SSD)のアクセスがメモリーに迫る値となっているのがわかる。
実用に即したテストとして、フルHD解像度のH.264動画を再生してみた。処理のほぼすべてをグラフィックスカードが担うためか、CPU負荷はわずかに1~3%と非常に低く抑えられていた。flv動画の再生では、わずかにCPU負荷が高まるものの、それでも5%以内に収まっている。
このとき聞こえるのは、ケースやCPUなど計4基の空冷ファンが回っている小さな唸り音のみ。この手の金属シャーシのケースでは、金属質のHDDヘッドシーク音が意外と大きく響くものだが、SSDのおかげで静音性も高くなっている。
続いて、3Dグラフィックの計算と表示を試す。「MMD(Miku Miku Dance) v608」を使い、物理演算をオンにして、デフォルトサンプルの7キャラクターを踊らせてみた。表示フレームのリミッターを外すと、130フレーム/秒前後という速さで表示できた。そのほかにも、マンデルブロ図形の表示などいくつか試したが、いずれも高速な結果に圧倒された。
最後にゲームではどうだろうか? 「FINAL FANTASY XIVベンチマーク」(Low)のスコアは4610。指標では「快適」とされる範疇にある。スペックの割にそれほどでもないように見えるが、このベンチマークテストはGPU性能に依存する部分が大きく、Radeon HD 5770の限界と言えそうだ。
MR6900では排熱設計についても言及しておきたい。新世代のCore i7でも、CPUの発熱量は増えていない。4コア/8スレッドのCore i7-975 Extreme Edition(3.33GHz)やCore i7-960(3.2GHz)は、TDPが130Wであったが、Core i7-2600は95Wとなっている。
評価機の場合、さらに発熱するRadeon HD 5770を積んでいるのだが、FINAL FANTASY XIVベンチマークを1時間ほどループ実行させたときの排熱状態は、室温11度前後に対して、ケースファンの排気は17℃前後と、それほど上昇していないことがわかった。
★
秋葉原でも品薄が続くSandy Bridge搭載機を手早く手に入れ、さらに長く使いたいなら、Endeavor MR6900は第1候補として考える価値がある。短納期で定評のあるエプソンダイレクトと、国内メーカーの手厚い動作保証を考えれば、パーツを組み合わせて自作するよりも手軽で確実だ。
悩みそうなのはCPU内蔵グラフィックスを使うか、グラフィックスカードを搭載するかだが、手元にそこそこ速いグラフィックスカードがあるならそれを使えばいいし、ないならCPU内蔵で様子を見るのも悪くない。その分の予算をSSD搭載に回すのがお勧めだ。
Endeavor MR6900(評価機) の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i7-2600(3.4GHz) |
メモリー | 8GB |
グラフィックス | Radeon HD 5770 |
ストレージ | SSD 256GB(128GB×2) |
光学ドライブ | BDコンボドライブ |
インターフェース | USB 2.0×9、IEEE 1394、10/100/1000BASE-T LANなど |
サイズ | 幅179×奥行き396×高さ368mm |
質量 | 約10.1kg(基本構成時) |
OS | Windows 7 Ultimate 64bit版 |
価格 | 22万8060円 |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
この連載の記事
-
第133回
PC
Skyrimも快適? GeForce内蔵Ultrabook ASUSTeK UX32VD -
第132回
PC
写真やゲームをより美しく見せるナナオの液晶 FS2333 -
第131回
PC
デジカメとスマホを手軽に連携する無線LAN SDカード FlashAir -
第130回
PC
無線とタッチで使い勝手が進化したペンタブレット Intuos5 -
第130回
PC
スレートPCをCore i7で蘇らせたオンキヨー TW3A-A31 -
第129回
PC
店頭モデルも4コアCPUに パワーアップしたLets'note B10 -
第129回
PC
小型でも強力GPU搭載のゲームPC Alienware X51を検証 -
第129回
PC
Ultrabookと一緒に持ち歩きたい 超小型マウス「Cube」 -
第129回
PC
14型のUltrabookはアリか? デザイン重視のENVY 14 SPECTRE -
第128回
PC
WiMAXモバイルルーターの決定版!? Aterm WM3600Rを試す -
第127回
デジタル
高速SSDで起動・復帰が速いUltrabook Aspire S3-951 - この連載の一覧へ