スイスイ操作のタブレット端末(iOS)
ブームの火付け役「iPad」
iPadは、アップルが昨年5月末に発売し、日本の電子書籍ブームに火をつけた存在だ(レビュー記事)。
ラインナップは無線LANのみの「Wi-Fi」モデルと、無線LANに加えてソフトバンクの3G回線も使える「WiFi + 3G」モデルの2つで、それぞれ内蔵メモリーは16/32/64GBだ。価格は4万8800円から(Wi-Fiモデル、16GB)。
簡単にいえば「タッチ操作に対応したパソコン」。電子書籍専用ではなく、ウェブブラウズやメールといった様々な用途に使える。アップルは電子書籍アプリとして「iBooks」を、電子書籍ストアとして「iBook Store」をそれぞれ用意するが、これらのサービスでは、現状は英語のコンテンツが中心だ。日本語のコンテンツは、サードパーティーが提供しているアプリやサービス、ウェブサイトで買うことになる(これについては特集後半でお伝えする)。
一番のポイントは滑らかな操作性。指を開いたり閉じたりして、画面をスッと素早くなぞるピンチイン/アウトで、無段階に拡大/縮小できる。電子書籍ではページ全体を見たり、読みづらい文字を大きくしたり……といった使い方ができる。
外部メモリースロットは用意されていないため、内蔵メモリーの容量がいっぱいになったら、パソコンに不要なデータを転送し、空きを作る必要がある。電子書籍メインで使うなら、一度に大量の本を持ち運べるよう、内蔵メモリーは32GB以上を選ぶほうが無難だ。
Wi-Fi | Wi-Fi+3G | |
---|---|---|
価格 | 16GB:4万8800円 32GB:5万8800円 64GB:6万8800円 |
16GB:6万1800円 32GB:7万1800円 64GB:8万1800円 |
画面方式 | マルチタッチ対応液晶ディスプレー | |
画面サイズ(解像度) | 9.7インチ(768×1024ドット) | |
内蔵メモリー容量 | 16/32/64GB | |
通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.1 + EDR | 3G、IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.1 + EDR |
メモリースロット | なし | |
バッテリー駆動時間 | 最長10時間(インターネット利用時) | 最長9時間(インターネット利用時) |
対応ファイル形式 | アプリに依存(EPUB、PDF、XMDFなど) | |
電子書籍ストア | アプリに依存(iBook Storeなど) | |
本体サイズ/重量 | 幅約189.7×奥行き13.4×高さ242.8mm/680g | 幅約189.7×奥行き13.4×高さ242.8mm/730g |
同じ「iOS」のiPhone/iPod touchも電子書籍端末になるぞ!
アップルは、スマートフォンの「iPhone」や、音楽プレーヤーの「iPod touch」も販売している。同じモバイル向けOS「iOS」を採用しているため、iPad用アプリの中にはそのままiPhone/iPod touchで使えるものも多い。画面サイズが3.5インチとiPadに比べると小さいため、読書時はページめくりや拡大/縮小の操作が増えてしまうが、電車内で気軽に書籍コンテンツを楽しみたい場合などに便利だ。
電話もできるタブレット端末(Android)
iPadを追撃する「Galaxy Tab」
タブレット端末で、iPadの対抗と見られているのが、GoogleのAndroidタブレット。中でも国内で注目が高いのは、ドコモが11月に発売したサムスン製の「GALAXY Tab」だ(レビュー記事)。ラインナップは、3G回線と無線LANに対応した1モデルのみ。
本体サイズは幅約120×奥行き12.1×高さ190mmで、新書(103×182mm)を一回り大きくしたぐらいだ。iPadに比べると、液晶ディスプレーのサイズは7インチと小さく、重量も約382gと軽いため、読書時に片手で持ってもより負担が少ない。液晶ディスプレーはマルチタッチ対応で、iPadと同じく指で画面を触って操作する。
こちらもiPadのように、電子書籍だけではなくウェブブラウズやメールのチェックといった様々な用途にも使えるうえ、さらに電話もかけられる(iモードは利用不可)。
注目の電子書籍ストアは、1月12日にスタートした「2Dfacto」(関連記事)。NTTドコモ、大日本印刷、CHIグループ(丸善と図書流通センターが経営統合した会社)の3社が合弁会社トゥ・ディファクトを作って始めた事業で、大日本印刷がPC向けに提供している電子書籍ストア「honto」の中から文芸書・コミックを中心とした約2万点が読めるようになっている。
Galaxy Tab | ||
---|---|---|
価格 | 契約プランに依存(3万〜4万円前後) | |
画面方式 | マルチタッチ対応液晶ディスプレー | |
画面サイズ(解像度) | 7インチ(600×1024ドット) | |
内蔵メモリー容量 | 16GB | |
通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 3.0 + EDR | |
メモリースロット | microSDHC(最大32GB) | |
バッテリー駆動時間 | 最長7時間(動画再生時) | |
対応ファイル形式 | アプリに依存(EPUB、PDF、XMDFなど) | |
電子書籍ストア | アプリに依存(2Dfactoなど) | |
本体サイズ/重量 | 幅約120×高さ12.1×奥行き190mm/約382g |
CESで発表された「Android 3.0」に注目!
Androidタブレットを語る上で外せないのが、次世代OSである「Honeycomb」(ハニカム)こと「Andoroid 3.0」。現在の最新バージョンである2.3と比べると、Googleが米国で展開する電子書籍ストア「Google eBooks」に標準で対応するのが特徴だ。スタート時に300万冊を超える書籍を扱う同ストアをバックに付ければ、より電子書籍端末としての魅力が増す。
Google eBooksの日本でのスタートは未定だが、1月頭に開かれた米展示会「International CES」では、ASUS、パナソニック、東芝、NECなどがAndroid 3.0対応のタブレット端末を展示していた(関連記事)。
(次ページに続く)
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