2010年、日本で何が起った?
「黒船」の来襲を受けて、2010年には日本の電子書籍業界は大きく動いた。
特に目立ったのは、iPhone/iPadだ。既存の書籍をデジタル化したものでは、2009年10月に電通がiPhone向けに電子雑誌ストア「MAGASTORE」を始めている。電子書籍独自の試みも増えており、例えば電子雑誌では、講談社が「BOX-AiR」、アスキー・メディアワークスが「電撃コミック ジャパン」を開始した。
iPad以外の端末では、シャープの「GALAPAGOS」とソニーの「Reader」が大きなトピックだ。それぞれ12月に販売開始し、独自のストアも開始した。
携帯キャリアも端末とストアを揃えた。ソフトバンクのグループ会社・ビューンは、iPadの発売開始に合わせて雑誌の主要な記事を読める「ビューン」をスタート。ドコモは昨年11月末にサムスン製のタブレット端末「Galaxy Tab」を発売し、今年1月よりスマートフォン向けの電子書籍ストア「2Dfacto」を開始。KDDIは、昨年12月に電子書籍端末「biblio Leaf SP02」とストア「LISMO Book Store」をオープンしている。
出版業界の参入も見逃せない。角川グループの角川コンテンツゲートは、電子書籍プラットフォーム「BOOK☆WALKER」の実証実験を12月に始めており、2011年7月に正式サービスを始める予定だ。
大手書店チェーンの紀伊國屋書店も、12月にオンライン販売サイト「紀伊國屋BookWeb」内にて、PC向けの電子書籍を取り扱い始めた。
ユーザー目線で見ると、自分で書籍をスキャンして電子化する、いわゆる「自炊」がブームとなった。裁断機で手持ちの本の背を切り、ドキュメントスキャナーで取り込み、タブレット端末やスマートフォンで読むという利用方法だ。このニーズを見込んで、「BOOKSCAN」など書籍を送ると電子化してくれるスキャンサービスが始まっている。paperboy&co.が電子書籍を作って販売する個人向けサービス「パブー」なども注目を集めている。
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――といった形で、日本の電子書籍市場は2010年からいよいよ本格的に動き始めている。この勢いを受けて2011年、電子書籍はさらに面白くなってくるはずだ。ぜひ本特集の続きで、ブックリーダーやサービスなどをチェックして電子書籍を手にしてほしい。

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