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週刊 PC&周辺機器レビュー 第87回

簡単構築サーバーにもなる多機能NAS QNAP TS-219P+

2011年01月14日 12時00分更新

文● 池田圭一

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 パソコンと1000BASE-Tで接続し、いくつかのファイルをやり取りしTS-219P+への書き込み/読み出し速度を測定してみた。ファイル容量によっても異なるが以下のような結果となった。

読み込み(TS-219P+ → パソコン) 740~890Mbps(約93~111MB/秒)
書き込み(パソコン → TS-219P+) 420~460Mbps(約53~58MB/秒)

 読み込みでは890Mbps(約111MB/秒)もの速度が出ているが、これはキャッシュメモリーの影響であろう。もちろん結果に関しては、取り付けたHDD自体の性能やLAN帯域、パソコンのスペックなどにも左右されるのだが、TS-219P+の能力は、リード/ライトともに平均65~70MB/秒あたりと考えられる。参考までに、ストレージベンチマークソフト「CristalDiskMark 3.0」と「FILE DEVICE BENCHMARK 1.03」で計測した結果も掲載しておく。

CristalDiskMark 3.0.1

CristalDiskMark 3.0.1の結果

大型ファイル作成 約70.02MB/秒
小型ファイル作成(32KB) 約5.38MB/秒
ファイル読み込み 約62.93MB/秒
ファイル読み込み(8byte単位) 約60KB/秒
ァイル作成/削除 233個/秒
ファイル開く/閉じる 599個/秒

 ファイルシステムの関係上、大量のファイルを読み書きする時にはパフォーマンスがかなり落ちるが、実用上は問題ないだろう。

単なるストレージではなく、もはや多機能サーバー

 TS-219P+のIPアドレスを指定してウェブブラウザーでアクセスすると、「各種管理」や「マルチメディアステーション」、「WEBサーバ」など各機能を設定するビジュアルメニューが開く。

TS-219P+にアクセスすると、ウェブブラウザーにビジュアルメニューが表示される

 各種管理では、ユーザー作成などウィザード化された主要設定のほか、FTPやウェブサーバーなどのネットワークサービス、メディアサーバーなどの搭載アプリケーション、バックアップ、USB接続されたプリンタやストレージなどの外部デバイスなどについて細かな設定ができる。

詳細設定から一部を紹介

詳細設定から一部を紹介。空冷ファンの管理からエラー発生時の通知、DDNS設定まで細かい設定が可能

主要な設定項目。HDDの管理からサービス、外部デバイスなど、公開サーバーを作るなど細かくチューニングしたい本格ユーザーに最適だ

Webファイルマネージャ

ウェブブラウザー経由でNASとクライアント間のアップロード/ダウンロードが可能な「Webファイルマネージャ」

 NASの基本はファイルサーバーなのだが、TS-219P+の機能はそれにとどまらない。ウェブサーバー機能はPHP、MySQL/SQLiteなどに対応しているため、自前のフォーラムやブログなどを開設できる。またウェブサーバー機能と連動して、エクスプローラー風の画面でファイルのアップロード/ダウンロードが行なえるファイル管理機能「Webファイルマネージャ」もある。

マルチメディアステーション

ウェブブラウザーでアクセスできる「マルチメディアステーション」。専用フォルダーに入れた写真アルバムの表示・管理が行なえる

マルチメディアステーション

音楽ファイルの再生(配信)に加え、動画ファイルの再生も可能。フルHDのmp4映像もリアルタイムで配信できる

 特筆したいのはマルチメディアステーション機能だ。これは、TS-219P+の共有フォルダーに置いた写真や動画、音楽ファイルを、ウェブブラウザー経由で閲覧・再生できるものだ。プレイリストの管理などもできる。手元の数種類のファイルを試したところ、QNAP提供のプレイヤーソフトで、JPEGファイルやmp3の音楽ファイル、MPEG-1、mp4、flvなどの動画ファイルが再生できた。

 動画表示のパフォーマンスは、配信を受ける側(再生するクライアント)の能力や、ウェブブラウザーの表示プラグインの対応状況に依存するのだが、Dynamic DNSもサポートしており、マルチメディアファイルをインターネット越しに視聴する環境も簡単に構築できる。


 TS-219P+ Turbo NASの実売価格は4万円前後と、HDDユニットを装備しないNASケースとしては、やや高額である。というのも国内の家庭向けNASは、特定メーカーのHDDレコーダーと連携することで録画ストレージとしての注目を浴びたため、比較的安価に出回っているからだ。家庭向けに限定するならば、ホットスワップや自動リビルドの必要性は低いので、そちらの方がコストを下げられる。

 その点、ホーム/SOHO両者の求める機能を積み込んだTS-219P+ Turbo NASの立ち位置は微妙だ。高性能かつ多機能、おまけに汎用性もあるのだがターゲットがぼやけてしまっているように思える。単なるNASではなく、簡易サーバーとしての導入を考えたほうがいい製品と言えそうだ。

TS-219P+ Turbo NAS の主な仕様
CPU Marvell 6282(1.6GHz)
メモリー 512MB
対応ストレージ 3.5インチSATA HDD、2.5インチSATA HDD
HDDトレイ 2台
インターフェース USB 2.0×3、eSATA×2、10/100/1000BASE-T LANなど
サイズ 幅102×奥行き216×高さ150mm
質量 約1.74kg
価格 オープンプライス(予想実売価格 4万円前後)

■Amazon.co.jpで購入

■関連サイト

筆者紹介─池田圭一

月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。


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