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Silverlight&Adobe AIR――2つのRIAを比較する

2011年02月16日 11時00分更新

文●橋本幸哉/ブルージラフ

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 「Silverlight」は、マイクロソフトが開発したRIA(リッチインターネットアプリケーション)プラットフォームです。Flashのようにブラウザープラグインとして提供され、HTMLやCSSだけでは表現できないリッチなUIを作成できます。プラグインはWindowsだけでなくMac OSやLinux版もあり、普及率は60%を超えています。

 「Adobe AIR」は、Flashをベースに開発されたRIAプラットフォームで、AIR上で開発したアプリはブラウザーではなくマルチプラットフォームのデスクトップアプリケーションとして動作します。オフライン状態でも動作し、Webアプリケーションへも容易に移行できるのも特徴です(一部、AIRでしか実装できない機能もあります)。

Silverlight/AIRの具体的な利用例

 Silverlight は、WordやExcelなどのOffice製品と連動できるので、帳票処理が必要な業務アプリケーション案件に向いています。Silverlight 3からはデスクトップアプリのようにローカルで実行できる「ブラウザー外実行モード」も用意され、Webブラウザーの制限から外れてローカルファイルへもアクセスできます。ブラウザープラグインとしては、ストリーミング動画再生に強く、動画配信サイト案件で効果を発揮します。

 Adobe AIRはローカルデータベースを内蔵しており、Webの技術をベースにしながらもスタンドアロンのアプリケーションを作成できます。また、P2Pやソケットサーバーを構築でき、ネットワークを介してアプリケーション通信ができます。マイクやカメラといったローカルデバイスにアクセスできるので、ビデオなどを使ったリアルタイムなネットワークアプリケーションも開発できます。

Silverlight/AIRの開発のポイント

 RIAを開発するメリットとしては、アニメーションなど表現力の高いインターフェースを構築できることや、プラットフォームに依存しない動作保証が得られる点が挙げられます。反面、ファイルサイズが大きくなりがちで、複雑な描画や計算処理でCPUを占領することがあるので、低スペックなマシンでは満足な動作を得られない場合があります。

 Silverlightは、Windowsアプリケーションの開発フレームワークである「.NET Framework」との共通点が多いので、従来のWindowsアプリの開発者が取り組みやすい面があります。一方のAIRは、Flashの延長線上にある技術なので、開発者の絶対人数が多いという特徴があります。

 問題点は、バージョンが変わると言語体系や記述方式が変わることや参考資料が少ないことが挙げられます。また両者とも新しい技術なので、想定外の不具合が起きる可能性があり、制作・検証には十分な時間が必要です。

著者:ブルージラフ

「もっと楽しく、もっと格好良く、もっとわかりやすく。More expressions,More communication!」というキャッチコピーのもと、アニメーションや3D-CG・映像、インターフェイスとしてiPadやiPhoneを利用して商品やサービスを分りやすく説明する “説明ツール”コンテンツを作っています。 特に”医療”や”エコ・環境ビジネス”の分野での実績が豊富です。

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