中国人はフルスペックのPCでないと納得しない!?
途上国向けとも言われたAtom搭載ネットブックやネットトップは、ビジネスシーンで売れたが、同じく“100ドルPC”の実現の足がかりとなるAndroid搭載のスレート端末などは売れるのか。中国におけるAndroidの評判だが、一部のガジェットギークに好評なだけで、「どちらでもない」どころか評判はよろしくない。
まず現状として、中国でのAndroidの認知度はPCユーザーやネット利用者の中でも低く、街でもこの文字を見ることは少ない。スレート端末を買うとすれば、ヘビーPCユーザーやガジェットギークがオンラインショッピングサイトで買うか、意図的に「PCと同じ、なのに激安!」を謳い文句に、PCに疎い人々向けにテレビショッピングで売られているかのどちらかだ。
(圧倒的多数派のPC所有者を問わず)Androidをよく知らない人々は、AndroidでOfficeやWindows用ゲームなどのアプリケーションが動くと思っており、買った人は普段からの中国商品の不信感と相まって、「騙された」と感じてしまう。
騙されたと感じた“ネットが使える人々”は、憂さを晴らすためか掲示板上で「騙された!」と書き込み、複数人の書き込みが溜まることで、「4000元以下の安価なスレート端末は、ニセモノだから買ってはならない。あんなものmp4プレーヤーの延長だ、製作工場を潰してしまえ」なんて記事も既に多数出ている。
フルスペックのPCでないと嫌な中国人だが、それでもAtom搭載の低スペックな製品は業務上で受け入れた。Windows + Intel or AMD以外のCPUを搭載したPCは、普通の人にとってニーズのないものだから、例えば低価格のWindows CE搭載のPOS端末はWindows搭載のPOS電脳に比べれば人気がないし、また低価格のAndroid搭載POS端末は未だにリリースされていない。
今後Android搭載の前述のような固定電話端末が出る可能性は低く、あるとすればWindows CE搭載機種くらいか。
去年までと同じように、コンシューマーPC市場に関しては都市部の消費者は2スピンドルのノートPCへの移行やモニター一体型PCの追加購入をし、農村部では自作PCをはじめとしたデスクトップPCを新規購入する傾向になるだろう。
ビジネスPC市場では、タワー型PCが主流で、次にノートPCが来ることは変わりないものの、小売店ではさらにAtom搭載POS電脳PCが普及し、ごく一部のオフィスで電話電脳が普及する。これが筆者の想像する2011年の中国PC普及絵図である。
山谷剛史(やまやたけし)
フリーランスライター。中国などアジア地域を中心とした海外IT事情に強い。統計に頼らず現地人の目線で取材する手法で,一般ユーザーにもわかりやすいルポが好評。当サイト内で、ブログ「中国リアルIT事情」も絶賛更新中。最新著作は「新しい中国人~ネットで団結する若者たち」(ソフトバンク新書)
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