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あなたの知らないWindows 第42回

複数のWindowsを使い分ける仮想化ソフト XenClient

2010年12月27日 19時06分更新

文● 山本雅史

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VT-dでグラフィックス性能を改善

XenClientのアーキテクチャー図

XenClientのアーキテクチャー図

 XenClientはこれらの問題を「少し」改善している。まずグラフィックに関しては、インテルが開発した「Intel VT for Directed I/O」(VT-d)という、I/Oパススルー機能を利用している。VT-dとは、仮想OSから直接I/Oをコントロールできるようするハードウェア機能である。XenClientはVT-dを使用して、仮想OS環境からGPUに直接アクセスできるようになった。

GPUはVT-dにより、パススルーで仮想OSと接続される

GPUはVT-dにより、パススルーで仮想OSと接続される(図中の赤線部分)。ただし、複数のVMで共有することはできず、一度にアクセスできるのはひとつのVMだけ

 といっても、サポートされているGPUは少なく、現時点ではインテルのCPU/チップセット内蔵グラフィックス機能(Intel HD GraphicsとIntel GMA 4500)だけに限定されている。AMDやNVIDIAのGPUには対応していない。USBデバイスに関しては、指定した仮想OSがそのUSBデバイスを占有する。VT-dがUSBデバイスにも拡張されたようなものだ。加えて、サポートされるUSBデバイスは、一般的なUSBマウスやキーボード、USBメモリー/HDDなど限定されている。

 注意が必要なのは、VT-dでは単一の仮想OSがGPUを占有するため、サーバーOS上の仮想環境のように、ひとつの画面で複数の仮想OSを表示することができない点だ。これでは複数の仮想OSを同時に動かせるメリットが少ないというわけで、用意された機能が「PortICA」だ。

 PortICA機能では、ある仮想OS上で動いているアプリケーションのウインドウだけを、GPUを占有している仮想OSに転送して表示できる。見た目はXP Modeでの「アプリケーションモード」と似たようなもので、画面に表示されている仮想OSの中で、シームレスにほかの仮想OS上のアプリケーションを混在させて、あたかも同じ仮想OS上のアプリケーションのように操作できる。

PortICAの概念図

PortICAの概念図。仮想OSのWindows XP上で動いてるアプリケーションの画面を、別の仮想OSであるWindows 7上で表示、操作できる

XenClientのインストールはとても簡単

Latitude E4310

今回試用した「Latitude E4310」

 今回はXenClientのテストのために、デルのノートパソコン「Latitude E4310」を借用して試用している。シトリックスのハードウェアリストにも掲載されている動作対象機種だ。

 まずXenClientのファイルをシトリックスのウェブサイトからダウンロードする。ファイルはISOファイル形式になっているため、CDライティングソフトでCD-Rに書き込んでおく。なお、XenClientはインストール時にHDDの内容を初期化するので、事前にHDDの内容をバックアップしておくか、別のHDDと取り替えるほうが賢明だ。

 またインストール前には、Latitude E4310のBIOS設定で「VT-x」と「VT-d」をオンにしておく。そうしないとインストールが途中で止まってしまう。

 インストールプロセス自体は非常に簡単だ。XenClientを書き込んだCD-Rでパソコンをブートすれば、インストールが開始される。途中の作業も言語の選択ぐらいで、簡単に終了する。再起動後にはXenClientのメニューが表示される。

最初に言語の指定を行なう。Japanを選択すればいい

最初に言語の指定を行なう。Japanを選択すればいい

HDDを初期化するため、警告が表示される

HDDを初期化するため、警告が表示される

XenClientの管理者パスワードを入力する

XenClientの管理者パスワードを入力する

 XenClientのメニュー画面が表示されたら、「Add Virtual Machine」から「Create from Install Disc」を選択して、光学ドライブからWindowsをインストールする。インストールできるWindowsは、Windows 7/Vista/XPだけだ。

最初に「Create From Install Disc」で仮想OSを作成

リブートするとXenClientのメニューが表示される。最初に「Create From Install Disc」(赤枠部)で仮想OSを作成する

仮想OSでサポートされるのは、Windows 7/Vista/XP

現在仮想OSでサポートされるのは、Windows 7/Vista/XPのみ。Windows 7は64bit版も選べる

仮想マシンが使用するメモリーと仮想CPU数を設定

仮想マシンが使用するメモリーと仮想CPU数を設定する

仮想ディスク容量とネットワークを指定

仮想ディスク容量とネットワークを指定する。ネットワークは有線/無線が使用できる

OSをインストールすれば完了

最後に、光学ドライブに入れたOSのインストールディスクから、OSをインストールすれば完了

 次回は、XenClientに複数のOSをインストールして使い勝手を検証していく。

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