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MS担当者が本音で語った「企業サイトとクラウド」 (2/4)

2010年12月24日 16時15分更新

文●砂金信一郎/マイクロソフト、諏訪光洋/ロフトワーク

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オウンドメディアで威力を発揮するクラウド

諏訪:インフラよりも少し上のレイヤー、「サービスとしてのクラウド」の話もしましょう。

砂金:「PaaS」にしても「SaaS」にしても、従量課金で「サービスとしてのクラウド」を使えるのが気に入っています。

諏訪:いいですよね。

砂金:1000インスタンスであっても1時間10円であれば1万円。普通、いきなり1000台のサーバーは買えないですからね。SaaSであれば、「グローバル展開するので10万人規模の仕組みを作れ」と急に言われた場合でも対応できる。キャパシティ・プランニングや非機能要件に費やす時間を圧倒的に減らせるのがクラウドの大きなメリットだと思います。

諏訪:そうですね。ただ、 制作会社から見ると、「企業サイト」ならそれほどクラウドの必然性は無いと思います。

砂金:その場合の「企業サイト」は、社内の経費精算とかERPとかのアプリのことですか? イントラのシステムについての議論は、突き詰めればずっとコストの削減です。Windows ServerのCALを買うよりAzureの方が安いからクラウドに移ろう、という感じです。事実ですけど。

諏訪:私が言ったのは「企業のホームページ」という意味ですね。

砂金:外向けの企業ホームページですね。

諏訪:はい。

砂金:トラフィックパターンが一定なら、クラウドは不要でしょうが、キャンペーン系はクラウドを採用するメリットがありますよね。

諏訪:クラウドが面白いのはオウンドメディア、それも「サービス」に近いものだと思います。

砂金:そのオウンドメディアについてもっと詳しく。

諏訪:我々のお客様に「キッズステーション」というケーブルテレビ会社があって、かなりのトラフィックがある企業サイトとは別に、おかあさん向けのコミュニティサイトがあるんです。ユーザー数は十万人。

砂金:単なる情報発信だけでなく双方向メディアなイメージですね。人を引きつける求心力的な。

諏訪:こういうサイトはトラフィックが読めないので、以前であれば最初から巨大なサーバーに投資していました。

砂金:今時、サーバーを最初から買うのは勇気がいりますよね。サイトがどのくらい人気になるかもわからないのに。

諏訪:そうですよね。もちろん企業サイトもオウンドメディアです。状況が予測できないので、企業のWeb担当者はつい1000万人がログインしても大丈夫な環境を整えてしまう。

砂金:TwitterやFacebookのおかげで、トラフィック誘導のパターンが以前と少し変わってきましたし。

諏訪:そして「予算が合わない」からプロジェクトストップになる。

砂金:ありがちな気がします。少し前まで「よいモノを作っても売れない=人気になるとは限らない」という感じでしたが、今はよいモノをしっかり作って運営すれば、buzzで広がる可能性が高いですからね。とはいえ、不確実性は高い。「スモールスタートで大人気!」になったときのことも考えると、自分が担当ならクラウド以外使う気になれないですね。

諏訪:僕もそう思います。

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