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来年2月はスペイン・バルセロナに行くべし!!

2011年の携帯業界を占う3つのポイント

2010年12月22日 09時00分更新

文● 中西祥智/アスキー総合研究所

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ユーザーのあらゆる情報をどの事業者が握るのか

「jibe」

「jibe」

 IS-03をはじめとするauのAndroid端末には、「jibe」というアプリが提供される。これはKDDIとJibe Mobileが共同開発した、複数のソーシャルメディアサービスに一括してアクセスできるアプリだ。ぐるなびなどのグルメ情報サイトでの情報検索も可能で、端末のアドレス帳と連携させることもできる。

 mixi、Twitter、GREE、モバゲータウン、ブログ、Amebaなう、その他複数のSNSに登録していて、「多数のIDやパスワードや、それぞれのサービスでそれぞれつながっている友人の情報を、もはや自分でも管理できなくなっているような状況にある」(クロサカ氏)ユーザーは、少なくないだろう。そういった情報どのように管理していくか、クロサカ氏の言う「コネクション・マネジメント」が、ユーザーの課題・負担になっている。これに対して、jibeや同種のアプリは今後、そのひとつの解となる可能性があり、「複数のコミュニティをどうつなぐか、大きな可能性を感じている」(KDDI 増田氏)という。

 だが、そういったコネクション、コミュニケーションに関する情報を、ユーザーはいったい誰に委ねるべきなのか。SNSでの発言履歴をたどれば、ユーザー自身すら気付いていない自分の特徴や、公開するつもりのなかったプライバシー情報も出てくるかもしれない。もちろん、すでに個々のSNS事業者にはその情報を委ねているわけだが、それらを束ね、かつアドレス帳と連携させるということは、その人のコミュニケーションに関するあらゆる情報が集約されることになる。

シャープ 八尋氏

シャープ株式会社 ネットワークサービス事業推進本部 副本部長 八尋俊英氏

 そして、集約されるのは、コミュニケーション関連だけではなく、Amazonの購入履歴をはじめとする、関心分野や購買情報なども入ってくるだろう。シャープ 八尋氏は「GARAPAGOSにはブックマーク機能があって、テキストの興味のある部分や特定の単語にマークを付けられるが、これをユーザー全体の統計情報と照らし合わせると、自分だけはこの部分を読んでいないとか、昨日のあのドラマを8割の友人が見たけれど自分は見ていないなど、“自分がわかるしくみ”が、クラウド側にも端末側にも増えていくだろう」と語る。

 さらには、電通大 中嶋教授の言うように、「端末には、すでにGPSに加えて加速度センサや磁気方位センサが載っていて、健康管理や測位にすでに使われている。ヒトとヒトとのコミュニケーションだけでなく、機械と機械のコミュニケーションも広がっていく」のは間違いない。クロサカ氏は、経産省の「情報大航海プロジェクト」で出た、糖尿病患者が飲み屋街とおぼしき地域に行くと、飲酒を警告する端末という話を紹介したが、そういった端末にはユーザーの病歴、位置、現在の心拍数なども記録されるだろう。

 つまり、コミュニケーション、興味分野、購買行動などに加えて、「メディカル関連など、自分でも把握していないさまざまなデータが集まって深いサービスを作っていくのがこの先の世界」(クロサカ氏)であり、これらのデータ(単に「ライフログ」と言ってしまえばそれまでだが)を一手に握った事業者は、大きなチャンスを得られる。「プラットフォーマーとキャリアの最終決戦」(クロサカ氏)は、この部分を誰が制するかということになるだろう。


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