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鳥居一豊の「最新AVプロダクツ一刀両断」 第24回

iPodやPCの音をピュアオーディオグレードで楽しむ!

オンキヨー「ND-S1000」&「DAC-1000」を徹底的に試聴!

2010年12月22日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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サンプリングレートコンバーターの音の変化を楽しむ

引き続き自宅で音質をチェック

引き続き自宅で音質をチェック

 今度は、DAC-1000のサンプリングレートコンバーターの音質の違いを聴き比べてみた。音質的な変化としては、音がなめらかになり、自然な音になる印象がある。まずは2倍の88.2kHzにしてみると、スネアドラムの細かい響きの余韻が明瞭に感じられるようになり、ボーカルの口元の動きまで見えるような、生々しい再現もよく出ている。

 さらに4倍の176.4kHzとすると、ステージの広がりや奥行きがさらに豊かになる。その分、ボーカルは少し奥に引っ込んだような印象になる。音の立ち上がりの良さ、音色の艶やかさなどがきちんと再現され、どんどん大人しくなっていく傾向はあるが、繊細で緻密な音になっていくと感じた。

 この違いは、クオリティというよりも好みの差と考えていい。音源そのままの44.1kHzの方が音の輪郭がカチっとしていて、いい意味でメリハリの聴いた音になるので、こちらの方がパワフルで気持ちいいと感じる人もいるだろう。ロックやポップスは44.1kHzのままで、小編成の室内楽なら176kHzでと、好みに合わせて使い分けるのが面白そうだ。

PCでダウンロードした
192kHzのハイサンプリング音源を聴いてみる

 最後に、ND-S1000にPCをUSB接続し、ハイサンプリング音源を聴いてみた。使用したPCは、ソニーの「VAIO type P」で、SSD内蔵のゼロスピンドル仕様。サイズも小さくて取り回しがきくので、オーディオ再生用としてはわりと理想に近いものだと思っている。

 Windows機との接続は、ND-S1000の入力を“PC”に切り換えるだけ。Windows側でUSBオーディオデバイスとして認識するので、あとはPC側で操作できる。Windows機にiTunesをインストールして使っている環境ならば、これでiPodの充電や同期も行なえるのは前述の通りだ。iPodを使わないなら、DAC-1000に直接接続してもいいだろう。

 まずは、88.2kHzで収録されたモーツァルトの「March K.189」を聴く。これはもうCDとは別次元の世界。鮮明で見通しのいい音場が広がり、古楽器の音色もリアルだ。チェンバロの美しい響きにほれぼれする。

 そして、96kHz収録のドボルザーク交響曲第9番「新世界より」の第4楽章。雄大に展開する演奏の力強さや、オーケストラの配置が見えるような鮮明な音の定位といい、それらの楽器が一斉に音を出すときの音圧感のダイナミックさといい、楽曲の魅力を存分に味わえる。

 PCのハイサンプリング音源でも、本機の特徴である繊細さや緻密な情報の豊かさがはっきりと感じられたし、PCでもアナログ音声出力をAVアンプにつなぐよりもUSBでデジタル出力した方が歴然とした差があることは間違いない。

「e-onkyo music」

24bit/192kHzの高音質音楽データを配信している「e-onkyo music」

 これならば、「e-onkyo music」などで配信されている、ハイサンプリング音源を購入して聴く喜びもますます高まるだろう。なお、同サイトの配信フォーマットは、24bit/192kHz音源のデータ配信や、WMAロスレス、FLAC、WAV形式とデータ形式も増え、多彩な再生アプリケーションでも楽しめるようになっている。

 ND-S1000やDAC-1000は、これまではカジュアルなオーディオ機器であったPCやiPodを、本格的なオーディオのグレードで楽しむための橋渡しをしてくれる貴重な存在。より便利で、しかも本格的なオーディオ機器と同等のグレードで音楽を楽しめるこのスタイルが、これからの音楽再生の主流になっていくだろう。


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