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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第86回

まるで不動産版ウィキリークス!「大島てる」の正体は?

2010年12月21日 12時00分更新

文● 古田雄介

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収益ではなく、
ハードルなく情報を広めることを優先したい

―― 最後にお聞きしたいのはサイトを運営するメリットです。本業の情報収集ではなくなっているとのことですが、将来的に何かしらの収益化を考えているんですか?

大島学 採算という面では期待していません。ずっと鳴かず飛ばずで、出費だけがかさんでいるわけですし、何が何でも今すぐこのサイトでお金を儲けなきゃいけないという状況でもないですからね。実際、お金になるなら同種のサービスがすでにあるはずですし。

―― サイトに広告を載せたり、事故物件のリストを販売されたりと、営業活動はされていますね。

大島学 おかげさまで広告の出稿が増えましたし、広告代理店からも色々なお話をいただくようになりました。

 だから、本当は収益化できたらいいなとは思っています。それで生計を立てられれば最高でしょう。でも、リストに関してはほとんど売れていませんし、まあ、あちらは収益の柱には絶対にならないでしょう(笑)。サイトに載っていること以上の情報はありません。(リストの)値段も1000円ですし。

 やはり採算以上に優先したいのは、事故物件の網羅性を高めて、対象地域を徐々に広げていくことですね。そして、それを無料で誰もが見られる状態に永久にし続けること。たとえば、事故物件の詳細な情報は有料で見せるという仕組みを作ったとしても、それで一番得をするのは事故物件を隠したい大家の側なのです。

質疑応答集の下方に一覧表の提供方法が示されている。メールアドレスにその旨を記載すると、EXCELを印刷した資料を有料で渡す

―― 有料だと、閲覧する人が限られるから。

大島学 そうです。自分が所有している土地や建物で事件などが起きるのは痛手だと思いますが、それを隠すような不誠実な不動産業者なり大家なりは、敷金や礼金などのほかの部分でもズルいことをする可能性が高いんです。

 そういう人たちが(不正に)得をしないように、我々はどんどん情報を公開していく。もしかしたら、いつかはほとんどの物件に「いわく」が見つかって、「どれも全部同じだよ」という状況になるかもしれませんが、それはそれでいいと思います。

 情報を行き渡らせるなら、障壁は作らないのが最善です。GoogleもFacebookもTwitterも無料でしょう? だから、それらにならっています。情報提供者からしても、「自分はタダで教えてやってるのに、なんで大島てるは金を取ってるんだ」となりますしね。

―― とりあえず収益はほかの仕事で得て、事故物件は採算がとれなくても第三者の目を光らせ続けるという感じですね。ちなみに、大島さんがお持ちの物件が事故に見舞われたらどうします?

大島学 ちょっと考えたくないですね(笑)。そうなる前に大家稼業から脱却したいと思いますよ。



古田雄介

筆者紹介──古田雄介


 元建設現場監督&元葬儀業者&現古銭マニア&毎週仕事で秋葉原と都内量販店に足繁く通う毎日を送る現デジタルライター。「古田雄介のブログ」ではみなさんのお勧めサイトを募集中です。




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