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SEO: Google は ODP / DMOZ からのリンクを特別視しているわけではない

2010年12月17日 12時56分更新

記事提供:SEMリサーチ

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Yahoo! JAPAN が自然検索のバックエンドを Google に切り替えたことを契機に、(私はこの言葉は好きではありませんが、本文では便宜的に用います)「GoogleのSEO」について勉強をし始めた人もいるかもしれない。幸い、インターネットで検索すると、過去に様々な方が公開した情報を探し出すことができるが、中には「遠い過去の話」のものも含まれている。今回は、DMOZ(Open Directory Project、以下 ODPと表記する)について説明しよう。

ODPとは、世界中のボランティアによって構築・編集されているディレクトリサイトだ。ほとんど誰も利用していないだろうが、一応 Googleも以前から「Googleディレクトリ」(http://www.google.com/dirhp?hl=ja)において、ODP のデータを採用している。

さて、さかのぼること10年前、当時は「Googleで検索上位に表示するための施策として、ODPは有効である」という意見は比較的多かった。当時はまだ「ソーシャル○○○」などという言葉はもちろん、ブログという言葉もあったかどうかという時代で、外部リンク構築施策は現在とは随分違うという事情を汲んでもらいたいのであるが、ともかく、当時のSEO、外部リンク構築における基本として「ODPに登録すること」は必ずピックアップされる要素であった。

しかし、当時 Googleは「ランキングにおいてODPを特別重視しているわけではない」(SES 2003、WebmasterWorldほか)という意見も表明している。つまり、ODP 掲載サイトを検索ランキングにおいて優遇しているわけではない、SEOに有利というわけではないのだ。

だが一方で、検索順位を追跡調査する限りにおいて「ODPに掲載されることで順位は上がったように見える」ことも確認できた。Google は嘘をついているのか?否、理由は別のところにある。

背景には「ODPクローン」(DMOZクローン)の存在がある。実は ODP のデータは、誰でも自由に利用可能となっており、ダウンロードして自分のサイトにアップロードすれば簡単に巨大なディレクトリコンテンツを自社サイトに展開することができる。これを利用して、世界中の何千ものサイトがODPクローンを自社サイトに展開した。ちなみに日本国内のポータルでいうと過去に AOL Search が利用していた例があるが、現在は閉鎖されている。

つまり、サイト運営者は「ODP」という1つのディレクトリに登録したつもりでも、実際には世界中のODPクローンに展開されるため、実質的に世界中から数千ものリンクが張られることになったのだ。これらのリンクが評価されることにより、検索順位も上昇していたというわけだ。

この手法はSEO業界に広く知れ渡るようになるにつれて、(当然ながら)悪知恵を働かせる人々も登場する。超格安にドメインを取得し、廉価なホスティングサイトを用いてODPクローンを次々と展開していき、そしてフッターリンクにターゲットとするサイトへのリンクを埋め込むという手法が横行する。また、ASP方式のサービスも登場し、数行のスクリプトを書き込むだけでODPデータをまるごとコピーしたサイトを構築するようなものも登場して拍車をかけた。

検索エンジンの開発サイドからすれば、こうした「単なるコピーディレクトリ」のリンクに基づいてサイトの順位づけを行うことは合理的ではない。そこで Google は、重複したコンテンツをフィルタリングしていく方針の一環として、ODPクローンはすべて評価しないという施策をうった。このため、今日はODP に掲載しても「それは単なる1つのリンク」としての評価しか行われていない。

したがって、ODPに掲載することは、それは「ディレクトリサイトに自分のサイトを掲載する」というSEOの王道的な、方法の1つとして行ってもらうことは全く問題ないが、Google が特別な評価をするかといわれれば、それは「NO」であることを改めて理解しておこう。

ちなみに最近は、ODP の掲載審査は非常に時間がかかるケースが増えているので、個人的には ODP への掲載手続きはお勧めしていない。

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