スマートフォンがビンボーをハッピーにする!
続いてのセッションはスマートフォンについて。登壇者は慶應義塾大学の増井俊之教授と、当社アスキー総合研究所の遠藤 諭。
遠藤は、リーマンショック以来最大のトレンドは“貧困”だと分析。日本でも、モノを買わない、クルマはいらない、酒は飲まない、デートもしないなど、嫌消費ということが言われていたり、「ほしがらない若者たち」(日経プレミアシリーズ 山岡 拓/著)という現象があるが、一方で彼らは不幸ではなく、意外に幸せであることから、これを「ビンボーハッピー」と名付けた。
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そのビンボーハッピーには“7つ道具”があり、ソーシャルとスマートフォンは、ここで密接に関係しているという。
遠藤 世界での携帯電話の出荷台数では、いま、約20%がスマートフォンになっている。日本でも、iPhoneはもはや普通の商品になっており、そしてAndroid端末も、企業のエグゼクティブ層やIT系の人たちから広がりはじめている。スマートフォンとソーシャルによって、飲み会に行かなくても友人関係を維持できるし、グルーポンで出費を抑えることもできる。つまり、ビンボーハッピーを支えている。
これに増井氏は、テレビもそもそも、ビンボーハッピーのためのシステムであり、海外旅行に行けないから旅行番組で満足したり、コンサートに行けないから歌番組を見てきたことを考えると、スマートフォンも(かつてのテレビのような)大きなトレンドに乗っているのだろうと応じた。
なお、遠藤はiPhone、Androidとも、開発のための、あるいはビジネスのプラットフォームとして、どちらもアップル・グーグルの意向に左右される。その意味で「専制君主的」であるという認識を提示。
これに増井氏は、iPhoneについては同意するが、Androidは、はるか源流にあるUNIX由来のオープンさがあり、「下々の開発者でもなんとでも変えられる」ことから、専制君主的とは言えないのではないかと答えた。