2009年9月30日に、JVC・ケンウッド・ホールディングスから「RYOMA」と呼ばれる製品の開発表明が行なわれた。
RYOMAのハードウェア自体は、一言でいうと、“ネットラジオ配信サービスに対応した、FM/AMチューナー&デジタルアンプを内蔵したBDレコーダー”であるが、ネットラジオ配信サービスを自社で立ち上げるなど、話題を集めた。
当時の発表では2010年前半には製品化する、ということだったが、その後は製品化の発表がなく、このままフェードアウトするかに思われた。しかし、1年超の沈黙を破り、ついにそのRYOMAが発売されることになった。
ハードウェア的にはデジタルアンプ内蔵BDレコ
「RY-MA1」という型番になり、2011年2月上旬に発売される。500GBのHDDと記録型BDドライブ、地上/BS/CSデジタルチューナー×2、30W+30Wのデジタルアンプを内蔵し、予想実売価格は16万円となる。
デジタルアンプは最高24bitのビット拡張と最大4倍オーバーサンプリング処理を同時に行なう「HRS+」機能と、バーチャルサラウンドの「3Dフォニック」機能を搭載。加えて、FM/AMチューナーや無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)までも内蔵。これで幅440×奥行き22.2×高さ85mmというコンパクトサイズを実現したのも特徴のひとつだという。
ちなみに、映像関連部分はビクターの開発者が、オーディオやネット関連機能はケンウッドの開発者が担当しているという。
“リョーマ”改めリョウマックス!
RY-MA1は「RyomaX」(リョウマックス)というブランドネームで投入される。ちなみRyomaの後ろの「X」には、「いろんなタイプの商品を出していきたい」という思いが込められているとのこと。今後、RyomaXとしてモバイル機器やチューナー内蔵セットトップボックスを投入していく予定だという。
RyomaXの核となるのは、「MELINK」と呼ばれる独自のネットワークサービスだ。このプラットフォームは同社と、金沢工業大学が主催する「新メディア・プラットフォーム協議会」(ラジオの難視聴解消とコンテンツ配信のあり方を検証する非営利団体。2011年1月に発足予定)により提供される。
MELINKには、ラジオ番組のサイマル放送(地域限定の無料再配信)に付加データ情報を加えた「サイマルチャネル」と、SD画質の動画に付加データ情報を加えた「専門チャネル」の2つの配信サービスがある。
前者は付加情報を加えることで「テレビでラジオを楽しむために特化したサービス」であり、後者は配信料が月額40万円程度という「予算で映像コンテンツを配信できるサービス」なのが特徴だ。
家電業界の夜明けは独創性のある商品がカギ!?
RyomaX(RYOMA)を立ち上げた、同社執行役員常務・新事業開発センター長の前田 悟氏は、現状の家電業界について「同じ土俵での競争」「誰でも手に入るデバイスと巨大なEMS(製造業)」「大量生産による膨大な在庫」の3つの理由により、価格競争に追い込まれていると指摘。一方で多機能な製品を開発しても、(価格競争により)それを価格に転嫁できない状態で、利益率の低下が起きているとした。
また同氏は、「戦後は(欧米諸国に)追いつけ追い越せでやってきた。しかし、今は(新興国が)日本に追いつけ追い越せの状態で、(日本が)その先に行けていないのが現状」であり、その打開策は「独創性のある商品を投入することが重要」で、「その先に家電業界の復活がある」と語った。