ポイント その1
Visual Web Developer Express 2010でWindows Azure開発を始める
前回の記事では、Visual Studioの無料版である「Visual Studio Express」の中でも、Web開発のための「Visual Web Developer Express 2010」(以下 Visual Web Developer)のインストール手順を解説したので、今回もこの環境でアプリケーション開発を進めた。
まずVisual Web Developerを起動するわけだが、ここで一点注意が必要だ。起動する際に、必ず右クリックメニューの「管理者として実行」を選択して、管理者権限で実行すること。そうでないと、後でデバッグの際にエラーが出てしまい、デバッグ実行ができなくなってしまう(いちいちVisual Web Developerを再起動してもいいが、かなり面倒だ)。
Visual Web Developerを起動したら、メニューの[ファイル]から[新しいプロジェクト]を選択。するとプロジェクトのテンプレート(種類)の選択画面になるので、「Visual Basic」あるいは「Visual C#」を選択し、続いて「Cloud」を選択すると、「Windows Azure クラウドサービス」という項目が表示されるので、プロジェクト名に適当な名前を付けよう。デフォルトでは「CloudService(数字)」となっているので、今回はそのまま「CloudService1」とした。
最後に「OK」を押すと、以下のようなダイアログが表示される。
ここでは「ASP.NET Web ロール」を選択し、「WebRole1」というWebロールを作成しよう。今回のアプリケーションは、このWebロールのみで実装されている。
Windows Azureにおける「ロール」とは?
「ロール」はVM(Virtual Machine)であり、簡単にいえばWindows Azure上で「プログラムを実行するサーバー(システム)」である。ロールには「Webロール」と「Worker(ワーカー)ロール」の2種類(※)が存在する。
先ほどのダイアログでは5種類のロールが表示されていたが、それぞれの名前の末尾を見ると分かるとおり、実際には「Webロール 4種類+Workerロール 1種類」という形で分類できる。
MSDNのWindows Azureページで連載されていた「コードで学ぶ Windows Azure アプリケーション開発入門」の第1回によると、以下のように説明されている。
この Web ロールと Worker ロールは、正確には、以下のように分類することができます。
- Webロール
- IISでホスティングされるアプリケーションを実行する
- Workerロール
- IISを用いないアプリケーションを実行する
つまり、これらの唯一の違いは「IIS を使うか使わないか」である、という点を覚えておいてください。
IIS(Internet Information Server)とは、Windowsに標準搭載されているWebサーバー機能のこと。つまり、一般的にWebサーバーを介して提供される機能は、すべてWebロールに含まれ、Webサーバー機能を必要としない定時バッチ処理などはWorkerロールに含まれるわけだ。
また、画面遷移を伴わないWCFのような通信機能もまたWebサーバーを利用するため、一般的には「Webロールは必須、Workerロールは必要に応じて」という手順になるだろう。
今回は特にバッチ処理などを想定していないので、Webロールのみで進めることにする。
※ 2010年10月28日、Windows Azureの機能強化の一環として「VMロール」という仮想OSのロールが追加されると発表されたが、本稿執筆時点では、まだ正式にリリースされていない機能なので、ここでは割愛する。(次ページ、「WebロールにWCFとSilverlightをプロジェクトに追加する」に続く)
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