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ビリヤードで学ぶ「サイトモチベーション」の考え方 (3/3)

2010年12月08日 14時00分更新

文●小池 勉/コンテンツブレイン

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ビリヤードで見る、モチベーションによるサイト巡回

 私はまず、ページの冒頭(ファーストビュー)に「ここで何を表現しているのか」「何が理解できるのか」といった概略を表現することにしています。そうすればユーザーは「このページが自分の興味にあっているか」をすぐに把握できます。

 ただし、「検索して訪れたユーザーはすでに自社製品に興味を持っている」というのは大きな勘違いです。いきなり商品の一覧を並べてユーザーに選択せるようなページにしてはいけません。ユーザーにとっては「検索段階で知りたかったことの達成」が重要であって、知りたい情報の前に最終結論(商品選択)を先に見せられると、非常に不快な気分にしてしまうこともあります。これではユーザーの興味を受け止めたことにはなりません。

 逆にユーザーの興味をしっかり受け止められれば、ユーザーはそれだけ強いモチベーションを持ってくれます。「ここには知りたい情報がきっとある」と思っているので、トップページやランディングページを出発点に多くのページを閲覧してくれるでしょう。

 ユーザーのモチベーションとサイト内での行動の関係を、ビリヤードのゲームに見立てて説明します。次の図は、ユーザーが打つ白い玉が「ユーザーの視点」、9つの玉が「Webサイトのページ」を表しています。

 ビリヤードでは、最初のショットで強く打てば9つの玉はぶつかり合いながら広範囲に散らばり、弱く打てばあまり広がりません。玉がはじけ飛ぶことは、ユーザーの興味、関心が広がることを表します。

 高いモチベーションを持ったユーザーの視点は、台の上に散らばった玉のようにサイト全体に広がり、多くのページの存在を認識しています。

 ここでせっかく高まったモチベーションを失わせず、「興味を維持」させるためには、情報のポイントポイントに、新しい話題、次の興味に結び付く情報を置いておく(提供する)ことを考えていきます。それが各ページを巡る道しるべにもなります。ビリヤードでいえば、順番どおりにポケットに玉を落としていくような達成感をユーザーに与え続けられればいいわけです。


 ユーザーの「見たい」「知りたい」という興味からスタートするWebだからこそ、モチベーションは重要な要素といえます。そこが映画やテレビと、Webが違う点でもあります。

 次回は、ビリヤード理論をサイト上でどう実現するか、具体的な手法について解説します


今回の法則:モチベーションの法則

『“興味”を意識したサイト設計で、ユーザーの心を揺らすサイトになる』


著者:小池 勉(こいけ・つとむ)

株式会社コンテンツブレイン 代表取締役社長、株式会社サステナブル 代表取締役。Webマーケティングプランナー。家電、自動車からアパレル、食品、ブライダル、クレジットカード、PCメーカー、部品メーカーまでさまざまなジャンルのサイトプランニングを数多く手掛ける。またWebにおけるCRM戦略の立案、アイトラッキングを活用したWebコミュニケーション効率化なども行なっている。


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