HDRアートの撮影サンプル
上にHDRアートと通常のオートモードで撮った画像を並べてみた。通常であれば、コントラストを上げた画像は影の墨の部分が真っ黒く締まってしまうのだが、HDRアート撮影での仕上がりは、ハイライトとシャドー部分に微妙に階調が残るようになっている。
しかし、いくら高速撮影とはいっても、さすがに動いている物体は合成後の画像にブレが生じてしまっているのが見受けられる。色調は、単純に上げた、というよりレタッチソフトの「乗算」で合成した場合と似た色味になっている。
手持ちで撮影された複数枚の画像を合成するため、通常の撮影時よりもHDRやHSモード時では画角が若干狭くなるが、これは処理的に致し方ないことなのだろう。
コミPo!の画像処理 VS EX-ZR10のHDRアート
さて、コミPo!には、背景用に画像を取り込む機能が搭載されている。イラストをスキャンして取り込むのが一番確実なのだろうが、デジカメで撮影した写真を取り込むことも可能だ。
さらに、取り込んだ写真に対して画像処理をかけることで、イラスト風にしたり油絵調にする機能まで搭載されている。
実際に上のサンプル撮影画像をコミPo!の背景としてはめ込んでみたのが以下の画像。それぞれ、上のコマがオートで撮影した写真にコミPo!の画像処理を施したもので、下のコマがHDRアートで撮影した画像をそのまま貼り付けたものだ。
拡大してみると、コミPo!はイラスト風、HDRアートは絵画風であることがわかる。とはいえ、このようにコマの背景に貼り付けてパッと見る分には違いが見えにくい、というのが正直な感想だ。
ただ、コミPo!の画像処理機能は取り込んだ画像に補正をかけるもので、実際に補正処理をかけてみたらあまりいい感じにならなかった、という場合もある。そうなると撮り直しに行くほかない。
一方でEX-ZR10を使えば、撮ったその場で画像処理の結果を確認できるため、あまり絵画風な絵になっていない場合は、撮る位置を変えたり、場合によっては被写体を変えたりもできる。ここがデジカメ単体で画像処理ができるメリットだと感じる。
ちなみに、HDRアートで撮影した写真をコミPo!に取り込み、画像処理でモノクロ化すると絵画風な印象はすっかり消えて普通の“モノクロ写真”になる。モノクロの漫画を制作するのには向かないだろう。