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ITベンチャー、シニア、学生、NPO

深化するマイクロソフトの社会貢献活動

2010年12月07日 09時00分更新

文● 遠竹智寿子

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“支援する人たち”を“支援する”という姿勢

 それでは“クラウド”を中心とした活動とは何だろうか? 国内における事例を中心に紹介しよう。

 まず、2011年1月から販売予定のクラウド型CRMソフトウェア「Microsoft Dynamics CRM Online」を NPO 向けに最適化し、支援者管理に積極的なNPOに提供する。これまで大規模な IT 投資ができなかった中小規模のNPOも、このクラウドソリューションを通じて、業務の効率化を促進できるという。またNPO向けに、CRM活用のためのテンプレートの配布や、クラウド活用シナリオを説明するセミナーなどの啓発活動を行っていく。

当日は、IT ベンチャー支援の一環として行われている「Innovation Award 2010」の発表と表彰式も行われた。イノテックの変形性膝関節症診断支援ソフト(KOACAD) が最優秀賞を受賞した

 同社は2002年に、助成金提供という形でNPO支援を開始したが、2006年末には、サポート内容を拡大し、NPOのニーズに合わせたツールやテキストの作成と無償提供、IT活用のノウハウを提案するスキルアップイベント「NPO Day」を開催するといった活動を進めてきた。

 一方シニア向けにも「クラウド活用講座」をスタートさせた。

 この講座は、単なるパソコンの活用法に留まらず、「Windows Live」や「Office Web Apps」などのクラウドに関する要素を加えたICT利活用の推進、シニアICTリーダーの育成支援を目的としている。

ベンチャー、シニア、学生、NPOと別れて分科会が行われた。シニア向けクラウド講習会の様子。女性も多かった。マイクロソフトはシニア向けのICT利活用のテキスト「パソコンマスター講座」を地域シニアNPOに無償提供していくそうだ

 シニア情報生活アドバイザー制度の事務局などと連携して、まずは2011年末までに、1600名の受講者を目標に講座を実施する。Citizenship Dayでは、第1回目講座が開催されており、約60人のシニア情報生活アドバイザーたちが受講した。

※シニア情報生活アドバイザー制度:アドバイザーとしての養成講座を受講し資格を得たシニアが、地域シニアに向けて、パソコンやネットワークを趣味や生活に役立てるための講習会開催や、訪問サポートなどといったボランティア活動を行っている。シニア情報生活アドバイザーは、現在全国で約3600名。

 「多くのシニアたちがパソコンやインターネットをもっと使いこなしたいと思っているが、それを優しく教えること、そして、教えるインストラクターの養成が求められている」

──と話すのは、受講者の一人、山根 明氏だ。シニア情報生活アドバイザー、マイクロソフト認定ICTマスターなどの資格を持つ山根氏は、現在75歳。11年前にパソコンを始めたそうだ。今は、NPO法人シニアSOHO普及サロン・三鷹で、地域のシニア向けにICTの利活用を促進する立場にいる。

 「シニア層はもっとインターネットを知りたいと思っているし、ほかとのつながりを持ちたいと思っている。パソコンの使い方は分かっても、インターネット上にどんなサービスがあって、どう利用できるのかなどが分からない。こうして企業が活用方法を分かりやすく伝えてくれるのはとてもありがたい」

 山根氏は、この講座の内容をさらに噛み砕いて、地域のシニアに向けにワークショップなどを開催し、クラウドの活用法を広めていく予定だという。マイクロソフトとしては、先ほどのNPO支援と同じく、シニアにICT利活用を伝えるシニアたちを支援していくという姿勢だ。

 マイクロソフトは、シニア向けにクラウドや地デジ情報などを提供するポータルサイト「シニアデジタルライフ」(関連サイト)も開設している。

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