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ITベンチャー、シニア、学生、NPO

深化するマイクロソフトの社会貢献活動

2010年12月07日 09時00分更新

文● 遠竹智寿子

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今後マイクロソフトが目指す市民活動とは

 マイクロソフトの加治佐 俊一 業務執行役員最高技術責任者に聞いた。

マイクロソフト業務執行役員最高技術責任者 加治佐俊一氏

── マイクロソフトは、社会貢献をどう考えているのか?

加治佐 「基本的に、すぐに還元を求めるような活動は考えていない。例えばシニア支援に関しては、長期的に高齢化が進んでいく中で、技術を使って、生活を生きがいのあるものにしていただきたい。シニア層が、携帯やパソコンを使って活動的になっていけば、我々にとってもビジネス的なリターンがあると考えている」

── NPO法人向けのCRM Onlineは、貴社ビジネス促進の目的もあるのでは?

加治佐 「CRM Onlineは、寄付者管理などの作業を効率化することで、本来の活動に時間を割けるようにするのが目的。Dynamics CRM OnlineをNPO法人に使ってもらうことは、ビジネスとしての可能性も持ち合わせているが、利益優先ではない」

── 社会貢献とビジネスをうまく共存させていく考えなのか?

加治佐 「我々はIT業なので、技術なりサービスをきちんと活用してもらいながら、社会に貢献するというのが基本的な方向性となる。単純に寄付するとか、イメージ向上のためにチャリティーコンサートをするといったことではない。以前から活動方針は変わっていないが、世の中がクラウド化していく過程で、ビジネスも変化してきている。企業の社会貢献活動も同じ。NPO法人も、強い意志を持っているので、クラウドの活用などを通じて、さらに一歩先を勧める手伝いをしていくべきだと考えている」

── マイクロソフトの社会貢献の現状を、どう捉えているか?

加治佐 「日本法人自体、来年で設立25周年。他社の企業市民活動と比べても、本社の活動と比べても、まだまだ日が浅い。やっと回ってき始めたと感じているところ。うまく成長してきたので、それを厚く広げていきたい。マイクロソフトが細かいところに口を出すのではなく、NPOやシニアなど、自立的に動く人々のサポートをするという姿勢で取り組んでいきたい」

学生向け分科会では、学生IT技術コンテスト(ImagineCup)企画のプレゼン大会が行われた。同コンテストは、2003年第一回開催当初は、単に技術の腕を競うものだったが、現在は、「世界の社会問題を IT で解決しよう」というテーマを設けて、実社会に役立つソリューション探究に焦点を当てたものとなっている。国連開発計画担当者らも参加し、当事国の現状や技術的な側面の両側からアドバイスを行っていた

 今回のイベントに参加して感じたことは、マイクロソフトが取り組んでいる市民活動プログラムは、ビル・ゲイツ氏の創業当時からのビジョンに基づくもので、とても明快だということだ。これに現在ブームとなっているキーワード“クラウド”の要素も追加されている。

 具体的には、民間非営利団体(NPO)へのサポート強化や、シニアICTリーダーの育成支援を推し進めるといったように、日本国内の事情に合わせた考え方や取り組みへの姿勢を、社会貢献にも柔軟に対応させているといっていいだろう。単に製品の普及や市場占有率といったビジネス面だけではなく、こういった活動への取り組み姿勢にも、マイクロソフトの実力が表れていると感じた。

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