TMPGEnc 4.0 Xpress
エンコード性能を比較するため、「TMPGEnc 4.0 Xpress」を利用して、解像度1920×1080ドット/5分のAVCHDファイルを「DVD向けMPEGファイル」と「Blu-ray向けMPEGファイル」のテンプレートに従ってエンコードを行ない、処理時間を測定した。
「1100T BE」と「1090T BE」の比較では、どちらのテンプレートでも約4秒、「X2 565 BE」と「X2 560 BE」の比較では約7秒処理時間が短縮され、クロック向上による効果がそのまま素直に出ているのがわかる。また「CINEBENCH R11.5」ほどではないものの、コア数による処理速度の差も大きく、6コアの優位性が出るアプリケーションといえるだろう。
3DMark Vantage
3Dベンチマークテスト「3DMark Vantage」は、いうまでもなくGPUの性能が大きく影響するベンチマークだ。
まず、GPUスコアを確認すると、CPUの違いによる性能差は無いと言っていい。そのため、トータルスコアでも「1100T BE」と「1090T BE」、「X2 565 BE」と「X2 560 BE」の比較では共に1%程度の向上となった。一方で、CPUスコアは3%前後アップしているため、3DゲームでもCPU依存の高いゲームなら一定の効果が期待できる。
消費電力をチェック
最後に消費電力を見てみよう。アイドル時は10分間放置した中で、最も消費電力が少ない時点を、ロード時は「CINEBENCH R11.5」実行時の最高値とした。
「X2 565 BE」と「X2 560 BE」ではアイドル時、フルロード時とも消費電力にほとんど違いは見られなかった。
気になるのは、「1100T BE」の結果である。アイドル時は「1090T BE」とほとんど差が無いものの、フルロード時に約18W(9.1%増)と同じTDP125WのCPUとしては決して小さくない差がついた。これは、今回チェックした「1100T BE」はBIOS読みでコア電圧が1.336V、比較用に用意した「1090T BE」が1.253Vと大きく違うことが原因だと思われる。念のため手元にあった他社製のマザーボードでもコア電圧を確認してみたが、同じような結果となっている。
おそらくは、今回チェックしたCPUの電圧が高めに設定されているのだと思われるが、CPUの個体差がある可能性を頭の片隅に入れておいた方がよいかもしれない。
着実に上積みが見込める最新のPhenom IIシリーズ
今回発表された2製品は、既存モデルからともにクロック周波数が100MHz上昇している。正直なところ、レビュー前は100MHzの上積みがどれほど数字に表われるのか未知数だった。実際のベンチ計測で、微増ながらもおおむね増加分に見合った性能向上が確認できたということで、まずは最上位モデルとしての威厳を保っている。
とはいえ、コストパフォーマンスという点では雲行きが怪しい。AMD発表の店頭想定売価は約2万4980円。こればかりは発売を待ってみないと、何とも分からないのだが、「1090T BE」の実売価格が約2万400円程度(サハロフ佐藤のアキバ定点観測11月27日調査分より)ということを考えると、その差約5000円というのは、コストパフォーマンス的には少々悪いと言わざるを得ない。逆に「1100T BE」の実売価格が約2万2000円程度に落ち着くようであれば、迷わず選択して損はないと断言できる。とはいえ、AMDユーザーにとっては、2010年も終わろうというこの時期に約8ヵ月ぶりに更新された最上位モデルが登場したという点だけでも、大きな意味がある製品といえる。
一方の「X2 565 BE」は、AMD発表の店頭想定売価は約1万1000円。既存の「X2 560 BE」は実売9400円前後で、価格差は1500円程度となる計算だ。6コアや4コアが不要なライトユーザーで、かつPhenomシリーズにこだわるのであれば有効な選択肢になるだろう。
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