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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第16回

企業導入には注意せよ!?

ITRが分析する、iPad導入の落とし穴

2010年12月02日 09時00分更新

文● 大河原克行

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個人向け端末ならではの課題も

 そのほかにも、いくつかの興味深い指摘が行われている。

 例えば、iPadがコンシューマ向け製品として開発されたことから、メーカーの企業向けサポート体制の脆弱性や、ユーザーログインの概念がないこと、マルチユーザーへ非対応といった点がある。

 「現時点では、アプリケーション導入の可否を制御する環境が標準で存在していないといったように、管理に関連する多くの要素を、ユーザー自身またはサードパーティーの管理ツールに委ねる必要がある」とも付け加える。

 さらに、社内の無線LAN環境の構築、iPad固有のアプリケーション開発、Flashを利用したコンテンツの見直しなどの負担といった課題のほか、「自社開発のアプリケーションを配信する際には、有償でiOS Developer Enterprise Programに登録し、AppStore経由で配布することが求められる。

 アップルは、2010年9月には、それまで従業員数500人以上としていた同プログラムへの参加制限を解除したが、個々の端末にアプリケーションをインストールする際には、iTunesが必要であり、多台数の導入を考える企業にとっては、一元的なアプリケーション配布に多大な手間がかかる」としている。

 iOSソフトウェアの開発言語が独自性の強いObjective-Cであり、Windows PCの開発ノウハウを継承できない点も企業によっては課題のひとつ。Mac OS向けアプリケーションの開発経験がない企業にはコスト増加につながるとしており、端末コストだけの安さにとらわれるのではなく、トータルコストの観点からの試算も必要であるというわけだ。


少なくともチェックしたい23項目

 レポートの最後に、舘野シニア・アナリストは、新型デバイス導入前に確認すべきチェックリストとして23項目をあげている。

 「業務において、新型デバイスを導入する必要性はあるか」「PC資産管理は行っているか」「PCからの情報漏洩対策は講じているか」「メールサーバーへのセキュリティ対策は講じているか」「主要業務アプリケーションのウェブ対応は済んでいるか」「製品ベンダーからの公式サポートの品質は十分か」「導入デバイスの開発言語に習熟したスタッフが存在するか」「利用者の多くがコンピュータのモバイル利用に慣れているか」などだ。

 「チェック可能な項目が半分以下に留まるような企業においては、新型デバイス導入のリスクが高く、もたらされる価値を、コストが上回る可能性がある」と指摘する。

 iPadの企業導入は、経営者の判断だけに押されずに、IT部門における冷静な判断が必要だ。それがiPad導入の成功につながる。

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