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週刊 PC&周辺機器レビュー 第83回

簡単操作に特化したバックアップ専用HDD Clickfree

2010年12月03日 12時00分更新

文● 池田圭一

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家庭内のデータ共有・バックアップに向く
ワイヤレスポータブル

Clickfreeワイヤレスポータブル

Clickfreeワイヤレスポータブル

 続いて、無線LAN経由でバックアップできるワイヤレスポータブルを見てみる。基本的にはC2Nと同じで、バックアップ対象となるパソコンにUSBで接続し、初回のバックアップを行なうと、Clickfree接続ソフトウェアが組み込まれ、さらに、パソコン側の無線LAN接続設定をワイヤレスポータブルが自動で取得する。これにより、無線LANにまつわる面倒な設定を省略できるという仕組みだ。

パソコン側の無線LAN接続設定を取り込み、ワイヤレスポータブルが無線LAN子機として動く

USB接続したパソコンのデータを初回バックアップすると、同時にパソコン側の無線LAN接続設定を取り込み、ワイヤレスポータブルが無線LAN子機として動くようになる

 その後、パソコンから外したワイヤレスポータブルを付属のACアダプターで動かすと、自動的に無線LANに参加して、最初にUSBでつないだパソコンからネットワークドライブとして見えるようになる。あとはC2Nと同様に、バックアップ/リストアが可能だ。

 無線LAN経由で使うワイヤレスポータブルは、おそらく常時稼働しっぱなしとなるだろう。そのためか、USB接続した時にバックアップ開始が基本となるC2Nとは異なり、自動バックアップのスケジュール設定も行なえる。

自動バックアップのスケジュール設定も可能

自動バックアップのスケジュール設定も可能。ワイヤレスポータブルの場合、無線LANの通信速度を考慮すると、毎日の定時バックアップがよいだろう

 ほかのパソコンから無線LAN経由でワイヤレスポータブルを使う場合は、これらでも一度、USBケーブル接続でのバックアップソフト導入が必要だ。設定の異なる複数の無線LANでも使えるが、そのときは最後にUSB接続したパソコンの無線LAN接続設定のみが有効になる。ちなみに、ワイヤレスポータブルにデータを暗号化する機能はない。

無線LAN経由でのバックアップ状況を確認してみた

無線LAN経由でのバックアップ状況を確認してみた。ファイル単位での転送となるため効率は低く、無線LANの問題(電波干渉)により転送速度が遅いのがネックだ

 ワイヤレスポータブルは手軽に使えるのだが、気になる点もある。無線LAN経由でのバックアップ(データ転送)速度が、IEEE 802.11gでの54Mbps接続に対して、その4分の1程度である実効約10Mbpsしか出ない。1台のアクセスポイントを介する無線LANパソコン間でのファイル転送と同様に、電波干渉によってパフォーマンスが低下しているのだ。そのため同容量のデータをバックアップするのに、USB接続と比べると20倍程度の時間を要した。大容量の動画データなどをバックアップするのであれば、一時的にUSB接続で運用したほうがいいだろう。


 冒頭で触れたように、Storage Appliance創業時の理念を忠実に反映したのがClickfreeシリーズだ。付属のバックアップソフトも簡単さを前面に出したもので、つなぐだけの自動バックアップをわかりやすく演出している。その反面、プライバシー保護やバックアップの完全性は省略されており、ビジネスユースでの運用には向かない。

 安価で売られているポータブルHDDの1.5倍~2倍の価格ということに抵抗を感じるかもしれないが、データを失うダメージの大きさに比べれば、導入しやすい製品である。家族や身近な友人など、パソコンに詳しくない人への贈り物としていかがだろうか。

Clickfree C2Nバックアップポータブルの主な仕様
ストレージ HDD 500GB
インターフェース USB 2.0
電源 USBバスパワー
サイズ(本体のみ) 幅80×奥行き19×高さ118mm
質量(本体のみ) 約166g
対応OS Windows 7/Vista/XP、Mac OS X 10.5以降
価格 オープンプライス(実売価格 1万4000円前後)
Clickfree ワイヤレスポータブルの主な仕様
ストレージ HDD 500GB
インターフェース IEEE 802.11g/n、USB 2.0
電源 USBバスパワー、ACアダプター
サイズ 幅121×奥行き121×高さ18mm
質量 約254g
対応OS Windows 7/Vista/XP、Mac OS X 10.5以降
価格 オープンプライス(実売価格 1万9000円前後)

筆者紹介─池田圭一

月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。


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