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「Jコミ」は電子書籍市場の起爆剤となるか

「ラブひな」赤松健さん、無料漫画サイト経営にかける「夢」

2010年12月02日 12時00分更新

文● まつもとあつし

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極めてシンプルなシステム構成

 ここで、担当編集がiPhoneでJコミのサーバー復旧を確認。赤松氏が少しホッとした様子を見せたところで、インタビューは再開された。


―― まさに、いま復旧したシステム面についてもお伺いします。TwitterではEC2(米Amazonが提供するクラウドサービス)を利用されていることを明かされていましたね。

赤松 そうですね。わ!? ダウンロード数がゼロにリセットされてる……。サイトはちゃんと表示されてるんだけどなー(iPhoneを見ながら)。

 えーと、EC2なので通信量に応じて従量課金にはなりますね。今おそらく40……いや50万ダウンロード超えてるかもしれないですね、うーん。

 システムは私の大学時代の先輩にお任せしています。資金は私が出していますが、すごい金額ではなかったですね。最初は漠然と、社内の部屋にサーバーを置くのかなー、なんて思ってたんですが、最近はそういうことはあんまりないんですね(笑)。

取材2日後には、100万ダウンロードを突破したことも発表された


―― ファイルサイズの大きな高解像度版のPDFが、いま一斉にダウンロードされている状況ですよね。

赤松 とはいえ、60MBですよ。


―― いや、ダウンロードコンテンツとしてはけっこう大きいと思いますよ。昼間だとなかなかダウンロードできないというTwitterの呟きもありました。

赤松 確かに。まあ今はベータテストの段階なので、その辺りは様子を見ながらスペックを臨機応変に変えていきたいと思います。それができるのも、クラウドサービスのおかげではありますよね。

 ただ、大きなファイルだとやはり海外のサーバーからでは時間がかかるということも見えてきたので、本サービスを始めるときには国内のサービスも検討するかもしれません。でも今、円高だから(海外サーバーは)安いんですよねー。

 とはいえ、私が担当しているのは基本的にはブログとTwitterだけなんですけど。原稿は遅いけど、ネットの更新は早いですよ(笑)。

 いずれしても、正直あんまりシステム的なことは分かっていません。先輩にお任せしているという状況ですね。でも、広告のところでもお話ししたように、凝ったDRMや課金の必要もありませんし、極めてシンプルな仕組みになっているとは思いますよ。

「原稿は遅いけど、ネットの更新は早いです」と笑う赤松氏

―― 広告の測定という部分でも特別な仕組みは用意されていない?

赤松 PDFの広告をクリックすると、Jコミのサーバーのリダイレクターに遷移し、広告主の該当ページが表示されます。そのリダイレクトの数を記録し、レポートとして使っています。広告の有効期限が終了すれば、リダイレクトの時点で「終了しました」と表示させることもできます。

 あと、画面上で確認できるダウンロード数だけではなく、先ほどお話ししたように、読者に再配布を許していますので、実際にはもっと流通しているはずです。私のTwitterには中国の方からの反響も寄せられています。勝手にミラーサイト作っちゃっている人もいるくらい。ファイルが本物という保証はないので、オススメはしませんが……。

 でも、これまでであれば、そうやって「勝手に再配付」されてしまったら、作者には1円も入ってこなかった。それが、Jコミならばそこに可能性が見えてくるんです。これは繰り返し強調したいですね。


―― 動画やマンガの配信サイトなどでは、通常IP制限をかけて国外からのアクセスを遮断していますが、そういった対策もあえてとっていない、ということですね。

赤松 たとえば、中国にマンガを輸出するのって、政府の検閲があったり、文化的な違いがあって難しいじゃないですか。でもアニメやマンガが大好きな中国人の方が、積極的に「日本のサーバーにアクセスしてダウンロードする」分には、規制が及びづらいですよね。

 その意味でも、中国で作品の展開を考えていたり、あるいは広告を出したいというケースにも、面白いものが提供できると思いますよ。

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