DVD再生の画質は天下一品!
「RD-X10」
最後に「RD-X10」を詳しく見ていこう。基本的なデザインはRDシリーズ共通のものとなっているが、本機のフロントパネルには、ヨーロッパ製の高級車のインテリアにも使われる「エンジェル・デメル社」のアルミニウムパネルを採用。独特の模様が刻まれたパネルは見た目も美しい。
背面のパネルは、RD Xシリーズから引き続き、伝統のステンレスパネルとなっている。もちろん、高画質・高音質に関してもしっかりと配慮されており、2系統のHDMI出力から映像と音声を独立出力する「Pureモード」の採用や、アナログビデオ出力やアナログ音声出力にまでこだわった映像・音声回路を備える。特にアナログオーディオ出力は7.1ch出力まで備え、まさに高級プレーヤー並みだ。
まずは、東芝自慢の超解像技術が盛り込まれた「レゾリューションプラスXDE」を試してみよう。SD画質のスポーツ中継を見て効果を見比べてみたが、「切」と「2」では、観客席の見え方が大きく変わった。
コントラスト感も補正されるようで、レゾリューションプラスXDEを使った方が色乗りがよくなった感じがする。従来は気になった、補正し過ぎによる輪郭の違和感などもあまり目立たず、質の高い画質改善となっている。ちなみに、同社の薄型テレビとの接続時には、超解像技術が二重にかかることがないように自動的に補正されるようだ。
これならば常用してもよさそうだが、BDも放送画質も精細感豊かなリアル指向の映像だし、DVD画質は後述するが驚くほど高画質なので、無理に使う必要はないかもしれない。あまり映像の不自然さが気になることはなく、トータルでくっきりとした映像になる効果はあるが、「切」での素直な映像も良いので好みが分かれそうだと感じる。
BDソフトでのトータルでの画質傾向は、かなりリアルな再現で、単純な精細感の高さではなく、質感の表現のうまさが印象的。ソースに含まれた信号をしっかりと再現する正確さを感じる再現で、レンズによるボケ感の違いやパノラマ的なシーンでの見通しのよさなどもしっかり再現する。
驚かされるのが音質だ。HDMI出力のPureモードを試したところ、低域の伸びや高域のきめ細やかさといった次元ではなく、音に実体感があり、ひとつひとつの音がしっかりと描き分けられるのには驚いた。かなり忠実志向の音ではあるが、音の厚みや生き生きとした躍動感まで感じられるので、真面目すぎてつまらないということはない。
特定の色づけや演出がほとんどないので、パッと聴くと地味な印象もあるが、なかなか懐の深い表現力で、映画も音楽も幅広いジャンルに対応し、その持ち味を存分に発揮させてくれるだろう。
DVD再生画質は相変わらず優秀。最近はBDにDVDが同梱される映像ソフトが多く、比較視聴によく使うのだが、ブラインドでテストしたら「ちょっと画質の良くない“BD”だね」と言ってしまいそうなくらい、精細感の高い映像となる。
従来目立っていた輪郭周辺のノイズもあまり目立たず、すっきりと鮮明。これは他社に比べて明かに優れたポイントと言えそうだ。
最長12倍相当の長時間モードは、昨年モデルに比べて随分よくなったが、カメラが水鳥の飛翔を追って画面を動かしているような場面では、全体に精細感が劣化してしまう。それでも、ひどい映像の乱れはかなり抑え込まれており、見づらいとは感じない。他社と比べての印象では大きな差は少ないが、ニュースなどのチェック用としては問題なく使えるだろう。
◆
他のレコーダーにはない固有の魅力を大量に持ち、しかもRD-X10ではハイエンドモデルにふさわしい優れた画質・音質を実現しており、RDシリーズの最新モデルとしての進化度はかなり高いと感じる。
問題は機能的な面で他社と比べての見劣りが多い点だが、これについてはいずれ必ず改善されると信じている。新生RDの今後の展開を含めて、実に楽しみなモデルと言っていいだろう。
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