オリジナルの設計者に断って16ステップに
―― 今まで全然気がつかなかった!
岡宮 まあ誰も気づいていない気もしますけど。
―― そもそも、何でそんな半端な数だったんですか? だって使いにくいじゃないですか。
佐野 当時から話題でしたよね。これは何で12ステップなんだって。僕、小学生ながらに覚えてますよ。
佐藤 今回、三枝※に確認したんですよ。12を16にしてもよろしいですかって。その時に「何で12なんですか?」って聞いたら、「まあ3と4の最小公倍数だからね」って。
※ MS-20とSQ-10の設計者である三枝文夫氏のこと。現・株式会社コルグ取締役。
―― 逆に16ステップにする必然性は何ですか?
佐藤 やっぱり(12だと)扱いにくいから。
―― はははは。あとSQ-10の部分は、プッシュボタンが増えてますよね。
中島 はい。SQ-10で出来た主なことは今回もできるようになっていますけど、その上で使いやすくなるように再設計しています。例えばVoltageというボタンがあるんですけど、これはパッチングしてシンセのパラメーターを操作するのに使えます。
―― おおっ! パラメーターが電圧で表示されるじゃないですか。
中島 -5ボルトから、+5ボルトまで表示されるようになっています。その可変幅も設定できるようになっていますし、可変の段階数も細かく取ってありまして、アナログ的になめらかな音作りができるようになっています。
―― 電圧はそそりますねー。
佐野 電圧は「来ます」よね。電気回路なんですよね、電子回路じゃなく。12ステップの意味もそこで、まだシンセとシーケンサーが完全に分かれていない名残を感じさせますね。そこで最初の打ち合わせの時の、分けて考えないで一緒に動かそうという発想になるんですよね。
―― この時代のシーケンサーって、作曲するための装置じゃなかったですからね。
佐野 どっちかというと、音を作るための機械ですからね。