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週刊 PC&周辺機器レビュー 第81回

ノートで最大4画面!? Optimus対応ThinkPad T410s

2010年11月19日 12時00分更新

文● 小西利明/ASCII.jp編集部

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仕事のメインマシンにも十分な性能

 T410sはスペック面も充実している。Optimus対応モデルの場合、CPUには最高でCore i5-580M(2.66GHz)を搭載可能。さらにGPUとしてNVIDIAの「NVS 3100M」(ビデオメモリー512MB)を内蔵する。メモリーは最大で8GBまで内蔵可能なので、仮想マシン上でWindows XP用アプリケーションを動かす「XPモード」や、そのほかの仮想マシンソフトを動かす場合も余裕のスペックだ。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア。グラフィックスが低いのは意外に見えるが、これはスコア判定プログラムがNVS 3100M側を使っていないためで、実力はこれより高い

 ストレージはやや容量が少なめで、250GBのHDDか128GBのSSDのいずれかを選択となる。HDDは回転速度が5400rpmと遅めなので、性能をとるならSSDを選びたいところだが、128GBという容量では心許なく感じる。通信機能としては、Gigabit Ethernet対応の有線LAN機能や、IEEE 802.11nまで対応した無線LAN機能は当然搭載。WiMAXも内蔵可能となっている。

 これだけのスペックと14型クラスのディスプレーを搭載して、重さが約1.79kgというのは優秀だ。14型クラスのモバイルノートは日本ではあまり製品がなく、同クラスの競合製品と言えるのは、パナソニックの「Let'snote F」(CF-F9L)くらいだ。重さではLet'snote F9の方が170gほど軽いが、T410sは独立GPUを内蔵する点が大きな差と言えようか。

 ちなみにバッテリー駆動時間は、6セルバッテリーでカタログスペックでは最大約4.7時間とされている。内蔵無線LANを使用した状態で、バッテリーベンチマークプログラム「BBench」を用いて、標準の省電力設定にディスプレー消灯なし、スリープなし状態で駆動時間を計測したところ、約3時間23分使用できた。ヘビーなモバイルユースには物足りないが、外出先での会議等には十分対応できるだろう。

ドックと組み合わせて脅威の4画面表示を実現!

 冒頭でも触れたが、T410s Optimus対応モデルの特筆すべき点は、CPU内蔵グラフィックスと独立GPUを組み合わせた「NVIDIA Optimusテクノロジー」による高性能/省電力の両立と、多画面表示機能にある。

 Optimusテクノロジーについてはご存じの方も多いだろうが、簡単に説明すると「通常はCPU内蔵グラフィックスを使用して低消費電力を維持しながら、独立GPUの高性能を必要とするアプリケーションでだけ、独立GPUを使って表示する」機能を実現するものだ。

 Optimus対応のノートパソコンでは、Windowsのデスクトップや普通のアプリケーションはCPU内グラフィックス機能で画面を生成・表示する。しかし、独立GPUを使用するアプリケーションが起動したときは、そのアプリケーションのウインドウだけを独立GPU側で生成し、CPU内グラフィックスのビデオメモリーにウインドウ画面を転送。最終的にCPU内グラフィックスが、両画面を合成して表示する。

デスクトップを右クリックした際のメニュー

デスクトップを右クリックした際のメニュー。インテルCPU側の「グラフィック オプション」と、NVIDIA側の「NVIDIA コントロールパネル」のメニューが同居している

NVIDIA コントロールパネルの画面

NVIDIA コントロールパネルの画面。一般的なGeForceシリーズの画面と比べると、ディスプレー設定の項目が見当たらない。これらはCPU側の管理だからである

 Optimusテクノロジーで重要なのは、ユーザーはどちらのグラフィックス機能を使っているか、基本的には一切意識する必要がないという点だ。独立GPUを使用するメジャーなアプリケーションについては、あらかじめディスプレードライバー側のプロファイル設定でGPUを使うように指定されている。

 また、ユーザーが個別に「独立GPU使用するかCPU側を使用するか」を、プロファイルを作ることもできるし、アプリケーションを起動する際に、どちらのグラフィックス機能を使うかを指定することもできる。とはいえ、実際にはそこまで気にかける必要はあまりなく、ユーザーは自然に使うだけで、システム側で使い分けの面倒を見てくれる。

アプリケーション別にプロファイルを作り……

アプリケーション別にプロファイルを作り、どちらのGPUを使うかを管理できる。通常はお任せでかまわないようだ

 Optimus対応のノートパソコンは他社からもいくつか製品化されているが、T410s Optimus対応モデルがそれらと異なるのは、最大4画面のマルチディスプレー環境を実現できる点にある。これはCPU側グラフィックスで2画面表示するのに加えて、NVS 3100M側でさらに2画面を表示することで、最大4画面の同時表示を実現するものだ。

 4画面表示を実現するには、オプションの「ThinkPad ミニ・ドック・プラス・シリーズ3」(直販価格は1万8257円、本稿執筆時点、以下ドック)が必要になる。T410sをこのドックに装着した状態で、ドック側のディスプレー出力3系統分にそれぞれディスプレーを接続すると、本体の1画面+ディスプレー3画面による4画面表示が可能となる。

オプションのミニドック

オプションのミニドック。一回り大きなT510と兼用のため、T410sにはやや大きい

T410sを装着したドックの背面

T410sを装着したドックの背面。本体の背後に空きがあるのはどことなく不安を感じるが、ドックとの付け外しはスムーズだ

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