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ネットに生きる現代の匠“CTO・エンジニア”に聞く 第5回

頓智ドット株式会社 近藤純司CTOが語る

完成度2%──セカイカメラはまだ50倍進化する!

2010年12月01日 09時00分更新

文● 古田雄介

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社内では論議・論議・論議でコンセプトを共有

── 製品版のリリースから1年足らずで世界的な定番アプリになっただけでなく、「セカイアプリ」で他社のアプリを取り込むなど、すでに次の手を打っているのがすごいですね。。

セカイアプリ紹介ページ。ペットの鳩を世話しながらつぶやきの飛行距離を競う「CooKoo」や、オンラインRPG「セカイユウシャ」、各地のユーザーと爆弾を仕掛けあうソーシャルゲーム「ばくはつカブーン!」など、拡張現実を使ったアプリを用意している。2011年初頭までにはアプリ数を6個にする予定

近藤  今年3月にOpenAir for Publishers APIを提供して、他社さんのコンテンツをエアタグとして、セカイカメラのファインダーで見ていただけるようにしました。

 それで、7月頃からセカイアプリを作ってという流れです。

 もともと、セカイカメラで見えるものというのは頓智・が用意するだけでなく、色々な人が色々なものを持ち寄ってもらうのがあるべき姿と思っているんですよ。

 エアタグをユーザーさんに作ってもらうように、面白いアイデアを持っている企業さんにも是非参加してもらおうということで。

── 当初から予定していた展開というわけですね。ただ、新規の段階に進むにはタイミングも重要だと思います。3月にAPIを公開したのは、何か目標値をクリアしたなどのきっかけがあったんですか。

近藤  設定値はありますが、それよりも社員で意見を出し合って決めることに重きを置いています。設定値に近づいてきたら、とにかく意見を出し合って、論議が熟せば設定値の少し前でも踏み切るというスタイルですね。

── ちなみに現在は、どれくらいの人数で動いているんですか?

近藤  エンジニアだけで25人ですね。そのうちマネージャー的な仕事もやっている人が2人いて、今後も増えていくと思います。

── とても順調そうですね。それだけの人数だと意志統一みたいなものも難しくなると想いますが、そのあたりはどう対処していますか。

近藤  そこは社員に救われていますね。こんな小さな会社でありがたいことなんですが、ウチに応募してくれる人は非常にガッツがあるといいますか、皆それぞれのセカイカメラを持っているんですよ。

 「オレはセカイカメラをこうしたいんだ」という。

 それで皆がせめぎ合いをしているみたいなところがあって、方向性の議論になったときに意見を述べるのを惜しむ人がいないんです。

 とにかく、疑問に感じたり分岐点みたいなものが見えてきたら議論して決めていくので、後から「ホラ、やっぱりね」みたいなことを言う人はいないんですね。議論ばかりして時間のロスになることもありますが、そこは急かば回れじゃないですけど、必要なことだと思っています。

現在はまだ、世界の見え方を変える最初の数歩

── なるほど。皆が納得しながら同じ方向を見ている感じですね。すると、今後はどんな展開が待っているのでしょう。

現在の頓智・には日本を含めて6ヵ国の社員がいる。将来は「世界各地に拠点を設けて、それぞれの土地に最適なサービスを提供したい」という

近藤  少し抽象的になるかもしれませんが、セカイカメラで目指しているのは「世界の見え方を変える」ということなんです。

 iPhoneやAndroid、KDDIさんの端末といったプラットフォームの垣根にとらわれず、色々なツールでセカイカメラが利用できるようになることを考えていますね。

 たとえば、無線LANとGPS機能がついたデジカメなら、技術的には実装できると思います。

 また、カメラを通してエアタグを見てもらうだけでなく、ある建物の近くに来たら音声で「ここの何階にあるお店は美味しいよ!」と流れたり、観光名所でランドマークに触れたら、その場所だけで手に入る何かがダウンロードされたりといった、五感を使った展開もありえると思います。

── それらがすべて実現したらもの凄いことになりそうですが、そこが最終目標だとして、現在は何%くらいの地点まで進んでいると思いますか?

近藤  セカイカメラのプロトタイプを動かしたのが2009年の2月なんですが、そのときCEOの井口は3%と言っていました。

 でも、今は2%くらいだと思います。

やれることがどんどん多くなっていって、母数が増えてしまったので。まあ、半分冗談ですけど(笑)。

 ただ、我々が営業をかけてお願いする展開だけでなく、他社さんからお話を持ちかけていただける機会も多く、本当に可能性が広がっているのを実感しています。

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