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キヤノン 「SELPHY CP800」

重量約940gの小型プリンター「SELPHY」なら家でお店画質

2010年11月17日 12時00分更新

文● エースラッシュ

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粒状感のない昇華型プリントと補正機能で、美しい写真印刷を実現

 プリント品質は、一見最近の高機能インクジェットと同じような雰囲気になる。違ってくるのはごく近くで見た場合だ。インクジェットは相当高品位なモデルでも、ルーペで見ると小さな点の集合体であることがわかる。真っ白ではないが白っぽい、という画像をプリントすると、白の中に小さな点がパラパラ見えてしまったりもする。しかし昇華型の場合元々インクを吹き付けているわけではないため、粒状感が一切ないのが特徴だ。

 また、プリントの最終処理として特殊フィルムによるオーバーコート仕上げが施されるため、プリント表面に触れるとつるつるしている。インクジェット用のフォト用紙のように、触ると指紋がべったりと残ってしまうというようなことはない。当然水や汚れにも強いため、手帳などに入れて持ち歩きたい写真でも安心だ。ちなみに、条件を満たした状態でアルバムに保存すると100年持つという「アルバム保存100年」をうたっている。

 写真プリント時には画質補正機能もある。一番簡単なのは、自動写真補正機能をオンにしておくことだ。「輝度ノイズリダクション」により、明るさと色かぶりを補正した上で、明るさ補正で出てしまうノイズを軽減。強すぎるコントラストも抑えて自然な色合いに仕上げてくれる。また、人物写真用に「美肌補正」機能と「赤目補正」機能も用意されているから、少々写りの悪い写真でも格好良く仕上がる。こだわりのある人は、明るさ補正を7段階でマニュアル調整することも可能だ。

補正機能のオン/オフなどは印刷設定で一括指定できる

 キレイに見せるだけでなく、遊ぶこともできる。セピア調にしたり、淡い感じにしたりとアレンジできる「マイカラー」機能があるからだ。また、好みの写真を最大8画像または20画像を選んだ上で自動的に1枚の用紙に並べてくれる「シャッフルレイアウト」機能を使うと、コラージュ風のデザインカードを簡単に作れるのが楽しい。

印刷したカードの短辺2カ所は点線で簡単に切り離せるようになっている。表面はしっかりコーティングされていて、粒状感もない

 また実用向けの使用方法として、証明写真の作成がある。用途によっては正式な証明写真には使えないようだが、履歴書や免許証の申請など簡易撮影のボックスで済ませられるものならば問題なさそうだ。夜中でも自宅で証明写真が用意できるというのはありがたい。

「キヤノン イメージ ゲートウェイ」で写真の活用幅を広げる

 付属の写真印刷用ソフト「SELPHY Photo Print」では、撮影した時期や印刷履歴から写真を選び出し、文字入れやフレームの追加などを行なって手軽に印刷することができる。標準で付属しているフレームやスタンプもあるが、さらに新しいアイテムを利用したい時に便利なのがキヤノン製品のために用意された会員サービス「CANON iMAGE GATEWAY」(キヤノン イメージ ゲートウェイ)だ。

付属の「SELPHY Photo Print」ではフレームやスタンプの追加で写真を楽しくデコレーションできる

 パソコンにドライバとアプリケーションソフトをインストールすると、CANON iMAGE GATEWAYへの登録が促される。キヤノン製品全体を対象にしているサービスであるため、必ずしもSELPHY CP800で使える情報ばかりではないが、写真の撮り方講座やオンラインアルバムなども用意されており、日常的に活用できる。

追加アイテムが入手できる「CANON iMAGE GATEWAY」には、ドライバーインストール時にぜひ登録しておこう

 スタンプやフレームが入手できるのは「SELPHYでつくろう!」コーナーだ。フレームの中にはカレンダーが作れるデータや年賀状などもあるから、写真を印刷するだけではつまらないという人はぜひ登録しよう。

 フォトインテリアやプリントギフトのコーナーは写真を活用するためのアイデアが満載で、プリントした写真に手を加えたオリジナリティのあるカードの作り方や、開いた時に写真が立ち上がる「飛び出す絵本」方式のカードの作り方なども紹介されている。美しく、耐久性のあるフォトプリントだからこそ、何かを作る材料にしたり、誰かへのプレゼントにしたりという活用幅が広がる。家族で楽しめるプリンターだ。

スタンプやフレームが追加ダウンロードできるようになる。カレンダーなども作成可能だ

家でお店品質のフォトプリントを求めるなら買い!

 フォトプリントに完全に特化したモデルだけに、利用方法には限りがある。しかし、写真をキレイにプリントすることにこだわるのならば非常に使いやすいモデルだ。シンプルに機能が絞り込まれているため、マニュアルを見ずに使っていても、とまどうことはない。

 またSELPHY CP800ははがきサイズの印刷は可能なものの、Lサイズ1枚当たりのコストが約26.3円(「KL-36IP 3PACK」 Lサイズ/108枚分使用時。インク・用紙の合計コスト)となっており、大量の年賀状をプリントするというのは、高くついてしまう可能性がある。昨今の年賀状文化がすたれつつある中で送付枚数がかなり少なくなっている家庭や、親戚やごく親しい友人にだけは高画質のものを送りたいというような場合には便利に使えるだろう。

 1台購入すれば何でもできるというタイプの製品ではないため、購入前にはしっかりと検討してほしい。頻繁にDPEを利用している人や、長期保存のための写真プリントを楽しみたい人にとっては、ぴったりだろう。

キヤノン「SELPHY CP800」の主な仕様
実勢価格 1万円前後
液晶ディスプレイ 2.5型チルト方式
印刷解像度 300×300dpi/256階調
印刷速度 カードダイレクト/カメラダイレクト:Lサイズ 約39秒
インク 専用カセット(イエロー/マゼンタ/シアン/オーバーコート)
ペーパー (専用紙・ラベル紙)
印刷可能枚数(バッテリー利用時) Lサイズ 約54枚
インターフェース USB(カメラ用:TypeA/パソコン用:TypeB)/Bluetooth(オプション)
サイズ(幅×奥行き×高さ)/重量 177.0×134.6×68.6mm/重量約940g
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