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VMware vForum 2010基調講演

ヴイエムウェアが訴える「クラウドの柔軟な選択肢」

2010年11月09日 09時30分更新

文● 渡邉利和

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11月9~10日の2日間、VMwareは東京都内でvForum 2010を開催中だ。9日午前に行なわれた基調講演(General Session)では、仮想化技術を基盤としてクラウドコンピューティングの実現に取り組む同社の姿勢が鮮明になった。

ますます巨大化するイベント。急速な認知の拡大

 まず開会の挨拶を行なったヴイエムウェアの代表取締役社長の三木 泰雄氏はまず5年前の「Virtualization Forum 2005」を振り返り、当時の参加者数が700名で、セッション数は30枠、スポンサー7社という規模だったと明かした。一方、今回のvForum 2010では、参加者数は7,000名が見込まれており、参加者数で10倍、セッション数で3倍、スポンサー数は7倍という規模に成長しているという。このイベント規模の急拡大は、そのままVMwareの市場認知の拡大であり、さらにいえば仮想化/クラウドに対する市場の関心の高まりの反映でもあろう。

基調講演の挨拶を行なったヴイエムウェアの代表取締役社長の三木 泰雄氏

 こうした状況を踏まえて同氏が打ち出した日本市場への今後の注力分野は、「コンサルティングサービスの充実」「中堅・中小企業の仮想化導入支援の強化」「新たなソリューションの提供」の3点となる。なお、新たなソリューションと言っているのは、具体的には“vCloud Director”や“vFablic”などの新製品のことを指す。これらの新製品は主にプライベートクラウドとパブリッククラウドを接続して「ハイブリッドクラウド」を構築するために使われるもので、すでにデファクトスタンダードといってよい地位を固めたx86サーバーの仮想化基盤をテコにして企業内でのプライベートクラウド環境構築を経て大規模なクラウドコンピューティング環境の実現を目指す同社の最新の戦略のための具体的なツールとなる。

日本市場で注力する分野

仮想化からクラウドへのマイルストーンを示す

基調講演を行なった米ヴイエムウェアのCOOのトッド・ニールセン氏

 続いて登壇した、米ヴイエムウェアのCOO(最高執行責任者)のトッド・ニールセン氏は、「From Virtualization to Cloud to “IT as a Service”」(仮想化からクラウドを経てIT as a Serviceへ)と題する講演を行なった。この講演タイトル自体が、同社の戦略を端的に表現しているといえるだろう。同氏は調査会社のデータとして「仮想マシンの数が物理マシンの数を上回った」ことを紹介し、すでに仮想化環境こそが標準となっているという状況にあると述べた。さらに別の調査では「全世界の仮想アプリケーションの84%がVMwareのプラットフォーム上で実行されている」というデータを紹介。VMwareがすでに「標準プラットフォームを提供する企業」になっていることを印象づけた。

 その上で同氏は、「全世界のコンピューティングプラットフォームが数個の巨大なパブリッククラウドに集約され、誰もがそれを利用するようになる、と語る人もいるが、当社はそうは考えない」とし、企業が独自に構築するプライベートクラウドとパブリッククラウドの組み合わせによる「ハイブリッドクラウド」が現実的な解だと位置づけた。

仮想マシンの数が物理マシンを上回ったという調査

パブリッククラウドとプライベートクラウドを連携させたハイブリッドクラウド

 また、現在もなおクラウドの定義は固まっていない状況を踏まえ、同社の独自の見解として「クラウドコンピューティングが備える特性」について語った。効率性や俊敏性については既に共通認識となっていると見て良さそうだが、同氏が強調したのは「柔軟な選択肢」という点だ。これには、企業がすでに構築してきた既存のITインフラを捨て去ることを求めない「既存投資の保護」という側面と、特定のベンダーにロックインされない「オープンな相互運用性」という2つの意味がある。

同氏が考えるクラウドコンピューティングの特性

 同社のこれまでのビジネスが、企業ユーザーが社内で利用する仮想化基盤の提供を中核にしてきたことを考えれば、既存投資の保護とは、企業がすでに導入しているVMwareの仮想化プラットフォームをクラウド時代になっても継続して使い続けられるようにする、という宣言だと理解できる。そのためには、企業内に構築された仮想化基盤上に構築されるプライベートクラウド環境と外部のパブリッククラウド事業者が提供する環境とが分断されないためにもプライベートクラウドとの相互接続性が確保される必要がある。というわけで、同社の事業戦略から考えれば至極まっとうなメッセージであり、同社自身が仮想化技術からクラウド環境に向けてどういう道筋で進むべきかという点について揺るぎない方針が確立されたと受け止めるべきだろう。

 すでに大規模なパブリッククラウド事業者間ではユーザーの囲い込みに向けた攻勢が始まりつつあるように思われるが、その状況に対して企業ITインフラを支えるVMwareはどう対峙するのかという疑問に答えを提示した講演だった。

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