このページの本文へ

モバイルワーク時代到来でエンタープライズ無線LAN製品はもっと伸びる!

高速ホップとビデオ伝送が白眉なアルバのメッシュ型WLAN

2010年11月05日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

11月4日、エンタープライズ無線LAN製品を手掛けるアルバネットワークスは都内で事業説明会を行なった。専業ベンダーとしては久しぶりの発表会とのことで、無線LAN市場の成長がアピールされたほか、9月に買収したアザレアネットワークス製品についても解説された。

ますます拡がるエンタープライズ無線LAN市場

 アルバネットワークスは、専用コントローラとシンアクセスポイント(シンAP)を組み合わせることで統合管理を実現するエンタープライズ無線LAN製品の専業ベンダー。ナスダックに上場しており、700名の従業員、ワールドワイドで1万1000の顧客を抱えている。2010年9月にメッシュ型ネットワーク製品を提供するアザレアネットワークスを買収し、今まで手掛けてきた屋内向けの製品にプラスし、屋外向けの無線LANまでカバーするようになった。

 同社のアジア太平洋・日本担当副社長であるゲイリー・ジャクソン氏は、昨今PCがデスクトップからノートPCに移行し、iPadをはじめとするモバイルデバイスが増加した結果、「5億8000万台のWiFiデバイスが出荷されるようになった」(ジャクソン氏)という無線LANの隆盛について紹介した。また、ブロードバンド化、仮想化が進展したことで、ユーザーがオフィスから離れても仕事ができる環境が整ってきたと述べた。

アジア太平洋・日本担当副社長であるゲイリー・ジャクソン氏

 こうしたワークスタイルをサポートする無線LAN製品の要件について、同氏はIEEE802.11nの普及、音声やビデオのためのQoS(Quality of Service)、電波管理、不正APの排除、ネットワークやデバイスの管理の統合、ロケーションサービス、3Gとの統合などを挙げた。同社では、製品自体に加え、サードパーティ製品の組み合わせでこれらをニーズに対応しているとアピールした。

 さらに同氏は複数の調査会社のデータを引き合いに、無線LAN市場の成長を予想し、「今後3年間で倍の市場に成長することは共通している」と言及。特に300~600Mbpsを実現するIEEE802.11nに関しては、ここ数年で一気に拡大し、2014年には700万APを超える見込みを明らかにした。今後同社の立ち位置を「エッジスイッチングが減り、2013年にはリモートアクセスとエンタープライズ無線LANが伸張する。私たちは、これらを束ねる『セキュアモバイルアクセス』という市場への製品を提供する」(ジャクソン氏)と説明した。

IEEE802.11nに関しては、ここ数年で一気に拡大し、2014年には700万APを超える見込み

ローミングに優れたメッシュ型製品が投入

 次に、同社のメッシュテクノロジー担当副社長であるフレックス・ジャオ氏が、以前在籍していたアザレオネットワークスの製品について解説した。アザレオネットワークスはAP間をメッシュ状に接続するエンタープライズ無線LAN製品を持っており、現在はアルバのMSR/MSTシリーズとしてラインナップされている。IEEE802.11nに対応した4製品は屋外用と屋内用が用意されており、アンテナの搭載数も異なる。

メッシュテクノロジー担当副社長であるフレックス・ジャオ氏

 エンタープライズ無線LANの市場には、アルバのほかにシスコ、メルー、コルブリス(現HP)、エクストリコムなどのベンダーがいるが、同氏はメッシュ型無線LAN製品のメリットとして、「何回AP間をホップ(移動)してもスループットが落ちない」というローミング時のスループットをアピールした。伝統的なメッシュ型製品はゲートウェイを中心としたツリー型アーキテクチャを採用しており、「通信の際は必ずゲートウェイを経由しないといけないので、パフォーマンスが落ちる。また、ゲートウェイがダウンすると通信が途切れてしまう」(ジャオ氏)という課題を抱えていた。この点、アザレアのAPはルーターとして動作しており、ネットワークを常時監視し、レイヤ3でルーティングを行なう。これにより、ゲートウェイを介さず、宛先のAPに対して最短のホップ数で到達できるという。

同社の製品はホップ数が増えてもスループットが落ちない

ルーティングをベースにした経路制御のため最短ホップで通信相手に到達する

 今後需要の大きくなるビデオの伝送に関しては、AVT(Active Video Transmission)という技術を採用している。まずビデオのトラフィックの中から伝送制御に必要な重要なデータを抜き出し、バッファリング。これらを優先制御して送受信するほか、干渉やノイズでなくなった場合は、再送するというメカニズムを持つ。また、携帯電話などで導入されているFEC(Forward Error Collecting:謝り訂正技術)を独自実装しており、高い画像品質を確保できるという。

 同氏は、北京オリンピック会場や工場でのモニタリング、4.9GHz帯を使った横浜港での監視カメラ、政府の防災ネットワークなど、実際のアルバ製品の導入事例についても紹介した。来年には統合されたアザリア製品とアルバ製品が統合的に管理できるようになる予定。日本市場ではパートナーを介し、大学や公衆無線LANの11n化などに取り組んでいくという。

■関連サイト

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード