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大河原克行が斬る「日本のIT業界」 第15回

ひとり勝ちソフトバンクを追うドコモ、無策に泣いたKDDI

Galaxy S発売! キャリアが「スマホ・シフト」する狙いとは?

2010年11月04日 09時00分更新

文● 大河原克行

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“戦略ミス”から圧倒的に不利な立場にいるKDDIだが……

 スマートフォン市場において、さらに遅れを見せているKDDIは、ドコモ以上に深刻だ。

 KDDIの代表取締役会長兼社長の小野寺正氏は、「スマートフォンの投入の遅れは、戦略的なミスである」とコメント。

KDDIの代表取締役会長兼社長の小野寺正氏

 「純増シェアが悪化したのは、スマートフォンのラインアップがなかったことが影響しているのは確かであり、それは、スマートフォンで先行するソフトバンクの純増シェアが上昇していることでも明らかだ。また、スマートフォンの品揃えがなかったことで、他社への流出があり、2010年度第2四半期(7~9月)は、MNP(モバイルナンバーポータビリティ)でマイナスになっている」(KDDI小野寺社長)

──と、業績の各方面にスマートフォン参入の遅れが影響していることを指摘する。

 KDDIの誤算は、スマートフォンが1台目の電話機として使われるものと捉え、そこに向けた仕掛けづくりに特化した点にある。

 「スマートフォンは、フューチャーフォンからの乗り換えが中心とみていたため、FeliCa、ワンセグ、赤外線といった機能を搭載したものでないと売れないと考えた。だが、これが結果として遅れた理由になった」(KDDI小野寺社長)

失敗を認め、戦略の修正を明言する小野寺氏

 日本固有の仕様にこだわったことが、スマートフォン投入の遅れにつながり、それが携帯電話全体の純増数減少につながったというわけだ。

 一方で、ソフトバンクの孫社長は、「絵文字が表示できない、ワンセグが搭載されていないものは売れないといわれたが、結果はそうではなく、加速度的に売れている。一度体験すると従来端末には戻れない魅力が、iPhoneにはある」と語る。

 KDDIでは、新たに「IS03」関連記事)を投入する予定で、これにより、まずはスマートフォン市場での地歩をつくる考えだ。

 「IS03は、一部店舗で予約を開始しているが、それは店舗独自のものであり、当社で正式な予約を行っていない。そのため、現時点での予約数が明らかではない。しかし、手応えはかなりいい。まずは、買い換えが中心となるが、他社からの乗り換えも期待している」(KDDI小野寺社長)

 加えて「首都圏のユーザーは、通勤定期にFeliCaを使用したいといった要望もある。そうした点での利便性も訴求していく」と語る。

 「KDDIは、FTTHやCATVといったアクセス系回線を自前で多く持っており、その点がNTTドコモやソフトバンクとは異なる。これは、トラフィックが増加するスマートフォンの利用において、KDDIの優位性を発揮できる部分」(KDDI小野寺社長)

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