11月1日、アカマイ・テクノロジーズはiPhone、iPad、iPod touchなどのiOSベースのデバイス向けに最適化されたオンデマンド動画配信サービス「Akamai Universal Streaming」の提供開始を発表した。
デバイスの違いを吸収
携帯電話等のモバイルデバイス向けの動画配信では、アップルがFlashをサポートしない方針を打ち出していることから、現状ではiOS向けのコンテンツを別途用意する必要がある。現状では、オンライン事業者の収益の3割は携帯電話から生じているというデータもあるとのことで携帯電話対応は無視できないが、最近ではiPhoneなどのスマートフォンが急速に普及しつつあり、個別対応する必要のあるプラットフォームがさらに増加している状況だ。
まずはじめに概要を紹介した同社の職務執行者社長の小俣 修一氏は、さまざまなプラットフォームに向けて各種ファイル・フォーマットのさまざまなビットレートの映像コンテンツを用意する責任が現在はコンテンツオーナー側に課せられている現状を指摘し、「この部分をAkamai Universal Streamingがサポートし、“インターネットの中で”コンテンツのダイナミックな変換を提供する」とした。これにより、「映像のHD化によってコストが増大してしまい、期待される収益を大幅に超えてしまう映像配信コストをSDビデオ並みに引き下げ、従来の収益構造を維持できるようになる」という。
iOS向けビデオ形式をサポート
サービスの詳細についての説明を行なった米アカマイ・テクノロジーズのメディア&エンターテイメント部門マーケティング担当ディレクターのスザンヌ・ジョンソン氏は、iOS向けのビデオ配信の手順を「MPEG-4 H.264でエンコードしたファイルを10秒ごとのセグメントに分割、さらにアップルが指定した形式で暗号化した上で配信する必要がある」と紹介し、多数のファイルが生成されることによる管理負担の増大やストレージ消費を問題点として挙げた。さらに、Flash形式やSilverlight(Windows Media Video)形式など、他の端末向けのフォーマットもサポートするとなると、その負担は倍々で増えていく。加えて、接続回線がWiFiなのか3Gなのか、どの程度の帯域が利用可能かに応じて異なるビットレートのコンテンツを用意する負担もある。
Akamai Universal Streamingでは、こうしたコンテンツ提供者側の負担を軽減し、ユーザーに向けて最適な品質のビデオコンテンツを配信することをサポートする。コンテンツ提供者は1つのコンテンツを用意しておけば、後はAkamai Universal Streamingサービスがそのコンテンツを中間フォーマットに変換して保持しておき、実際にエンドユーザーがコンテンツにアクセスしてきた際には、端末の種別に応じた適切なフォーマットで配信を行なう。また、コンテンツ提供者があらかじめ複数のビットレートでエンコーディングされたコンテンツを準備しておけば、ユーザーがコンテンツの視聴中に帯域変動があった場合に動的に異なるビットレートに切り替えながら配信を行なう“Adaptive Bitrate”機能も提供される。コンテンツ提供者は、iPhone/iPad等のiOS搭載デバイスに対応するための負担を最小限に抑え、迅速にサービスを開始することが可能だ。
なお、ジョンソン氏は具体的な内容は明言しなかったものの、今後継続的に機能拡張が行なわれ、より豊富な機能が“インターネットの中で”実装されていくとしている。
