スパムのゴミをろ過する秘訣は何!?
「30min.」はなぜスパムが混ざらないのか?
2010年11月17日 09時00分更新
来年は経営者としての手腕がいっそう求められる
── 企画が固まってからサービスが完成するまでは順調でしたか?
野々村 仕組みを作るまでが大変でしたね。まずは、様々な地域のことを書いているブログを大量に集めましたが、谷郷はそれをひとつひとつをチェックしていきました。
それはスパムブログを取り除くというより、本当に地域情報を伝えているブログを選び出すためです。
たとえば、野球やサッカーなどのフランチャイズチームを応援するブログのなかでも、そのチームの本拠地周辺の情報を伝えるものは欲しいですが、選手に的を絞ったものはコンセプトがずれるわけです。
当時は1日数千ブログを見ていたので大変だったと思いますよ。そうしてRSSを取得したブログが、現在では3万後半くらいになっていますね。
同時期に私は、各ブログが言及しているお店や施設の名前を自動解析する仕組みを作っていました。
たとえば、「赤坂のXXXという店でもんじゃ焼きを食べた」という記事があったとします。日本には赤坂という地名が東京と群馬、福岡に3箇所ありますが、そのブロガーが普段伝えている地域の傾向や、同名地域で名前が挙がりやすい優先順位などから、どこの「赤坂」かを割り出し、かつ、XXXという店名を抽出して、他社さんから提供を受けている電話番号やURLなどの情報と結びつける、というようなことをひたすらやっていました。
── 店名といっても、書く人によって揺らぎますよね。マクドナルドなら、マクドやマックなど。
野々村 そこは今も苦労していますね。仕組みというのは一度作ってしまえばあとは回るものですが、表記ゆれに関しては人力でメンテナンスしていくしかありません。また、各地で様々な店舗が閉店したり開店したりしているので、そうした情報も含めてデータをアップデートしています。
── 2009年10月に増資して社員を増やすなど、サービスとともに会社としても順調に拡大していますね。
野々村 30min.はありがたいことに順調で、アプリのダウンロード数でみるとiPhone版は25万、Andoroid版は4万強、iPad版も5万後半くらいあります。
データベース以外にブロガーさんから登録していただいているブログも2000~3000くらいになっています。そうやって拡大していくと、どうしても人手や資金が必要になってきますから、今後のことを考えて増資や人員の拡充を行いました。
ただ、まだ会社としては順調とはいえません。今はまだアーリーステージなので、とにかくユーザー数の拡大に注力してやっていますが、それをしっかりビジネスにしていくという段階に進まないといけません。
これだけのユーザーさんに集まってもらえたのだから、ここから先に失敗したら経営者としての自分の失敗だと思っています。
── ビジネスとしての成功時期は、いつ頃を目標にしていますか?
野々村 来年中には、しっかり収益が取れるようにしていきたいですね。
── すると今後はさらに経営者としてのスキルが求められるわけですね。エンジニアからチームリーダー、事業を作り出すディレクター、経営者とステップアップされていますが、それぞれで必要なスキルは異なると思います。そこをどうやってクリアしていったのでしょうか?
野々村 2~3人のチームを率いて仕事するようになってからは「いかに効率よくまわすか」を考えるようになって、新規事業を立ち上げるときは先ほどのとおり失敗を繰り返してどうにか形にするという感じでした。経営者としてのスキルも、失敗しながら身につけていければと思っています。
立場によって全然違う土壌に放り込まれていくわけですが、そのたびに「これは無理だなんて考えている時間があったら手を動かせ」みたいに考えて臨んでいます。
── 「やるしかない」と、覚悟を決めるのが素早いんですね。
野々村 たとえば、iPhoneにしてもAndroidにしても、それまで経験したことのないプラットフォームが出てきたわけですけど、「これできるか」とか「これは流行るのか」とか、立ち止まって考え込むのは時間がもったいないと思うんですよ。その時間があったら、とりあえずプロトタイプを作っちゃえという感じです。
そして、だいたい1週間くらい経って「えらいところに手を出したな」と後悔するわけです(笑)。でもプラットフォームに関しては、先行者利益みたいなものもありますからね。
経営にしても本質は同じだと思っています。経営者になるなんて具体的には考えたこともなくて、「経営者とか自分は違うだろ」と思っていました。それでも、とりあえずやってみるというのを繰り返しているうちに現在のような状況になったわけで。ありきたりですが、失敗を恐れずにチャレンジしていくほうがいいんだろうなとは思っています。
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