このページの本文へ

仮想アプライアンスという選択肢 第10回

統合管理ツールとの連携も実現!ADCもいよいよ仮想化対応

日本ラドウェア、仮想アプライアンスを実現するVADI

2010年11月01日 10時30分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

10月29日、日本ラドウェアはADC(Application Delivery Controller)の仮想化を実現するVADI(Virtual Application Delivery Infrastracture)を発表した。昨今、各社が対応を表明している仮想アプライアンス化の流れにラドウェアも追従した。

データセンターでのADC集約化に大きなメリット

 ラドウェアはADCやIPSなどのアプライアンスを提供するイスラエルのITベンダーで、ノーテルのアプリケーションスイッチであるAlteon事業を買収した企業としても知られている。今回はADCの仮想化戦略について、日本ラドウェア代表取締役である秋元正義氏は「サーバーの仮想化や集約は進んでいるが、ADCの仮想化はまだ進んでいません。私たちはこれに対して、いち早く技術を開発し、ソリューションを展開することになります」と説明した。

日本ラドウェア代表取締役 秋元正義氏

 ラドウェアのCOO(Chief Operation Office)イラン・キンライヒ氏はデータセンターにおける仮想化・集約化というトレンドと、ADCの適用について語った。「データセンター内のADCでは、新しい仮想ネットワークトポロジにいち早く対応したり、即時プロビジョニングしたり、SLAの異なるアプリケーションに対応できること、そして管理のシンプルになることなどの要求が出てくる」と述べた。

COO(Chief Operation Office)イラン・キンライヒ氏

 これを実現するのが、同社のVADI(Virtual Application Delivery Infrastructure)になる。VADIでは独自ハイパーバイザー上に動作する仮想アプライアンス「vADC」を実現する技術になる。ラドウェアでは専用ハードウェア上で異なるvADCを単一のハードウェアに搭載できる「ADC-VX」と、一般のサーバー上に動作させるソフトウェア型のvADCインスタンスを提供する。ADC-VXでは、vADCごとに完全な独立性が確保されており、物理リソースを自由に割り当てることが可能。インスタンス単位での障害が他のインスタンスにも影響しないようになっている。

ソフトウェア型の仮想アプライアンスとともに仮想アプライアンス用の「ADC-VX」も提供する

 VADIでは単なる仮想アプライアンス化にとどまらず、プラグインやAPIを用いて管理の効率化や処理の自動化を実現できるのが大きなポイント。サービスを登録する際のプロビジョニングだけではなく、サービスの停止(デコミッショニング)、リソースの拡張、物理から仮想のマイグレーションといった処理も、サードパーティの自動管理システムから設定できる。これにより、仮想マシンに追加した際には、あわせて仮想マシンやADCのプロビジョニングを自動的に行なうといった操作が可能だという。統合管理ツールからAPIを経由して、アプリケーションの追加とともにADCのプロビジョニングも同時に行なえる。「システムの拡張に柔軟に対応でき、管理もシンプルになる」(キンライヒ氏)。価格は最小2インスタンスのライセンスが1500万円からで、最大28まで増やすことができる。

 ADCベンダーであるF5ネットワークスやA10ネットワークスに引き続き、ラドウェアも仮想アプライアンスの提供に踏み切った。今後は、仮想アプライアンスならではのメリットをいかに訴求していくのかが鍵になる。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事