あなたの知らないWindows 第38回
Internet Explorer 9β版レビュー Part4
新世代ブラウザー対決! IE9対Firefox 4対Chromium
2010年10月28日 12時00分更新
互換性はFirefoxとChromiumに軍配
表示互換性のテストとして、ECMAScriptやDOM、CSSなどをテストする「ACID3」を3つのウェブブラウザーで実行してみた。
ACID3のテストでは、Chromiumが満点でFirefox 4βは97点、IE9βは95点となっている。さすがにオープンを標榜しているGoogleだけあって、Chromiumの満点はすばらしい。ただ、Mozillaやマイクロソフトも満点を目指すと表明しているため、正式版がリリースされる頃には、3つのウェブブラウザーはどれもACID3をクリアすることになりそうだ。
問題なのは、3つのウェブブラウザーがサポートを表明しているHTML5に関して、ACID3のような互換性テストが今ところ存在しないことだ。HTLM5では、HTML5パーサーの動作を仕様書で規定している。そのためHTML4よりも、ウェブブラウザー間の互換性の差は少ないと言われている。しかし少ないと言っても、やはり互換性には差があるようだ。今後は、HTML5の互換性が大きく問題になってくるだろう。
例えばFirefox 4βでは、ビデオコーデックのライセンス問題でH.264がサポートされていない。そのため、IE9 TestDriveにあるHTML5でのビデオ再生はできなかった。一方Chromiumでは、H.264のコーデックが入っているため再生はできる。ただし、GPUサポートがないので、H.264ビデオのスムーズな再生はできなかった。
JavaScriptのパフォーマンスはChromiumが速い
JavaScriptのパフォーマンスを測る「SunSpider」もテストしてみた、開発者版のChromiumが頭ひとつ抜け出ている。
IE9βもIE8と比べれば大幅にパフォーマンスが上がったのだが(関連記事)、Chromiumには追いつけていない。Firefox 4βはIE9βよりも遅い。今後の正式版リリースに向けてチューニングが進めば、パフォーマンスがアップしていくだろう。
★
IE9は、JavaScriptのパフォーマンス向上やGPUサポートなど、さまざまな機能が強化されている。しかし、ライバルのFirefoxやChromiumもどんどん機能を強化しているため、当面はウェブブラウザー戦争に決着はつかないだろう。しかし、β版でのテストでは、ウェブブラウザーでのGPU利用に関しては、IE9にアドバンテージがあるようだ。
また、ウェブブラウザーの互換性に関しては、すべてのウェブブラウザーがACID3で満点を取るようになるだろう。今後重要になるのは、HTML5の互換性かもしれない。
この連載の記事
-
第50回
PC
次期IE「Internet Explorer 10」プレビュー版が公開 -
第49回
PC
RTM版も登場 Windows Home Server 2011の変更点とは -
第48回
PC
5秒で起動するSplashtop OSを自作パソコンで試す -
第47回
PC
ベンチで検証 Internet Explorer 9 RCの互換性と性能 -
第46回
PC
正式版の直前となるInternet Explorer 9 RC版が登場 -
第45回
PC
Silverlightをさらに進化させる「Silverlight 5」 -
第44回
PC
「Windows on ARM」が持つ意味と課題は何か? -
第43回
PC
GPUを利用できる仮想化ソフト XenClient 実践編 -
第42回
PC
複数のWindowsを使い分ける仮想化ソフト XenClient -
第41回
PC
3秒で起動しWindowsと共存するOS「Splashtop OS」 -
第40回
PC
最新版「PP7」に見るIE9の性能と互換性の高さ - この連載の一覧へ