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「ディスプレイ広告は500億ドル市場に」グーグルが予測

2010年10月27日 20時29分更新

文●小橋川誠己/Web Professional編集部

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アジア太平洋地域のディスプレイ広告事業を統括するシャイレシュ・ラオ氏

 2015年の世界のディスプレイ広告市場は500億ドル規模になる――。10月27日、「2015年ディスプレイ広告の5つの予測」と題した記者説明会で、グーグルがそんな予測を披露した。グーグルによると現在のディスプレイ広告の市場はおよそ200億ドルというから、5年後には2倍以上に拡大する計算だ。

 強気の予測の背景には、勢いに乗る同社のディスプレイ広告事業がある。ディスプレイネットワーク、AdMob、YouTubeなどを合わせたグーグルのディスプレイ広告事業は年間25億ドル規模にまで成長。米グーグルが14日に発表した第3四半期の決算でも、「ディスプレイ広告とモバイルの成長に勢いがあった」とエリック・シュミットCEOがわざわざコメントしたほどだ。

 27日に来日した米グーグルのアジア太平洋地域メディアセールス部門ディレクターのシャイレシュ・ラオ氏も「当社の広告主の上位1000社中99%がディスプレイ広告を利用」「主要広告主の75%がディスプレイ広告の出稿量を増加」「日本でも9月のトップページ枠はソールドアウト」と語るなど、ディスプレイ広告事業の好調ぶりを強調する。

動画広告が市場の起爆剤に

 とはいえ、旧来型の単純なバナー広告だけではディスプレイ広告市場の拡大は望めない。ラオ氏は、「現状のディスプレイ広告はパブリッシャー、広告主、ユーザーの利益が必ずしも一致していない」と認めたうえで、2015年のディスプレイ広告市場の予測として以下の4つを挙げた。

・50%以上が動画を含む広告になる
ディスプレイ広告の成長のもっとも大きな起爆剤になる。人間の持つ視覚に強く訴求でき、広告代理店はクリエイティビティを発揮できる
・モバイルがPCを超え1位になる
「2014年にモバイル端末がデスクトップを上回る」という前提に基づき、グーグルは「モバイルファースト」の方針を出している。台数が増えるだけでなく、モバイルであればいつ・どこからでもでき、タッチパネルやセンサーなどで五感に訴えられる
・クリック数以外の重要な指標が登場する
過去10年間はクリック数だけが指標だったが、ディスプレイ広告の効果を測るもっと重要な指標が登場する。エンゲージメントレート、コンバージョンレート、実店舗への流入や検索ボリュームへ与える影響など、効果測定がより重視される
・半数以上はリッチメディアを利用した広告に
 静止画やFlashだけでなく、よりインタラクティブなリッチメディアの利用が進む

 これらの「予測」は、実際には予測というよりもグーグルのディスプレイ広告事業の方針と言い換えられそうだ。グーグルはすでにYouTubeを使った動画広告や、買収したAdMobのモバイル広告事業を推進しており、ディスプレイ広告によるユーザー行動の変化を計測する「Campaign Insights」を一部で提供している。ディスプレイ広告がグーグルにとって検索連動型広告に次ぐ新たな収益源の1つになったいま、グーグルの方針は中長期的なインターネット広告の動向を占う上でも参考になりそうだ。

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