質実剛健なスペック+完全従量制課金で決まり!
富士通の王道IaaS「オンデマンド仮想システムサービス」
2010年10月26日 09時00分更新
完全な従量制採用で「使った分だけ払う」を徹底
さらに、パブリッククラウドでありながら、閉域網接続が可能なのも特徴的。同社のネットワークサービス「FENICS」の広域EthernetやIP-VPNなどでつなげば、プライベートクラウドとして利用することも可能だ。ホスティングサービスとの構内接続も行なっており、プライベートとパブリックを組み合わせたハイブリッドとしての利用も実現できる。
こうした質実剛健なスペックでありながら、課金は完全な従量制を採用する。1CPU・メモリ1.7GBの仮想マシンが1時間で25円(月額1万7856円)、ディスクオプションが10GBで1時間0.8円、ネットワークオプションが1GBあたり39円。国内の企業向けクラウドは意外と固定制が多いが、「使っていないときは課金しないで欲しいというニーズは潜在的にありました」(齋藤氏)とのことで、富士通は「使った分だけ払う」というクラウドの理念を徹底している。まさにIaaSの王道とも呼べるサービスだ。
200社以上のトライアルで見えたモノ
同サービスは200社以上のユーザーが半年近いトライアルを行なっているが、この結果を見ると7割近くが既存システムのクラウドへの移行となっている。そして、半分以上が顧客管理や問い合わせ、顧客アフィリエイトなど情報系のWebシステム用途になるという。
さらに全体の1/4以上は基幹システムのアウトソーシングに取り組んでおり、企業の情報システム向けのニーズが高いことがわかる。具体的には仮想化によって複数のサーバーを統合するという用途はもちろん、月次/年度末の膨大な会計トランザクションを一時的にクラウドで処理するといった使い方も見受けられるという。「安定しているシステムでも、リース切れや機器の陳腐化を機に、コスト削減や運用の効率化に取り組まれる方もいらっしゃいます。こういったお客様はクラウドを前向きに検討していますね」(齋藤氏)。一方で、需要の多いソーシャルアプリやSaaS事業者は、同社の子会社であるニフティの「ニフティクラウド」でカバーすることになるようだ。
2010年度中には英国、オーストラリア、シンガポール、ドイツ、米国の5拠点へ展開。今後はミドルウェアやOS、Webアプリケーションを拡充。現在オープンソース版のXenを用いているが、その他の仮想化プラットフォームにも拡張していくという。さらに同社はマイクロソフトとの提携によるWindows Azureのサービス「FJ-Azure(仮称)」の準備も進めており、オンデマンド仮想化サービスとあわせ、幅広いニーズに対応することが可能になる。今後の拡張も期待したい。

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