Mac用ソフト販売ストア「Mac App Store」
そして、これまでのMacの利用スタイルを大きく変革する可能性を秘めているのが「Mac App Store」だ。iOSにおけるApp Storeのすごさは、目的のアプリを探し出しやすい検索/ランキング機能と、アップデート適用が容易な使い勝手のよさにある。Mac App Storeはこれを「Mac OS X」の世界に持ち込むもので、MacアプリケーションをApp Storeから購入可能になるほか、一括アップデートも可能になっている。MacとPCで共通の話だが、ある程度使い方が固定されてくると、新しいアプリケーションを導入して環境を変化させる気持ちがなくなってくる。これではアプリケーションの利用は伸びず、プラットフォームとして停滞してしまう。もし気軽にアプリケーションを購入して利用できる環境があるのならば、停滞し始めたアプリケーション市場に再び火をともすことが可能になるかもしれない。Mac App Storeにおけるアプリケーションの配布スキームは従来の分配比率「7(開発者):3(Apple)」を踏襲し、Lionの登場を待たずしてSnow Leopardユーザー向けに90日以内にもサービスの提供が開始される。アプリの登録受け付けは11月から開始され、iOSアプリ開発で集まった開発者も対象に、さらにMacのアプリケーション環境を拡大していく狙いだ。
なおAppleによれば、Lionの登場は従来のペースよりも早く、2011年夏にも一般提供が開始される予定だ。通常であれば6月のWWDCで新OSのプレビューを公開、1年半ほどかけてベータ版からのブラッシュアップを繰り返し、一般販売が開始されるというペースが通例だ。だがLionのリリースは1年もかかっておらず、ベースとなる技術はほぼSnow Leopardのそれを踏襲し、追加機能を加えただけという可能性が高い。そのため、ほとんどのSnow Leopard対応アプリはそのままLionに持ち込めるのではないかと考えられる。
「One more thing」は噂のあの製品
最後に登場したお馴染みの「One more thing」は、すでに一部で噂になっていた「MacBook Air」の新型だ。薄型軽量Macとして封筒の中から華々しくデビューしたMacBook Airだが、MacBook/MacBook Proのユニボディ同様のアップデートは長らく登場せず、旧型筐体でのマイナーアップデートが繰り返されてきた状態だった。またマルチタッチジェスチャーへの対応が不完全、USBポート数が少ないという難点もあり、これらを改良した新バージョンの登場が待たれていた。
発表されたMacBook Airはさらに薄く、軽量になり、バッテリー駆動時間が長くなっている。本体はアルミニウムのユニボディとなり、LEDバックライトのディスプレイ、マルチタッチ完全対応の新型トラックパッドとなった。USB端子も2つになりポート数不足で悩むケースも減った。
また今回は、従来の13インチモデルだけでなく、Jobs氏いわく「弟分」にあたる11インチモデルも登場した。こちらはさらに小型軽量化が図られ、11インチモデルの下位モデルでは8万8800円の価格がついている。新型MacBook Airはディスプレイ解像度が高くなっており、13.3インチモデルで1440×900ドット、11インチモデルで1366×768ドットとなっている。なんと13.3インチMacBook Pro(1280×800ドット)よりも高解像度だ。
今回のMacBook Air最大の特徴ともいえるのがHDDの完全排除で、Flashメモリーモデルのみとなっている。そのためSSDユニットを搭載するのではなく、Flashメモリーモジュールを本体に直接組み込んだ形となっており、実装体積や面積の面で小型化が容易になった。Jobs氏は「Appleは世界最大のFlashメモリー消費メーカーだ。Flashメモリーのことは熟知しているし、HDDよりも2倍高速、バッテリー駆動時間も長くなり、さらに信頼性も高くモバイル用途に向いている」と述べ、今回の全面Flash採用についてその理由を説明している。
なお、今回のイベントは例によってウェブキャストでの中継が行なわれている。MacまたはiOSデバイスを持つユーザーであれば、いつでもイベントページから今回の一連のプレゼンテーションを参照できる。ぜひご覧いただきたい。