エプソンの最新機種「EP-903F」は、FAX機能やADFも搭載した「カラリオ」(Colorio)シリーズ最上位モデルだ。PCと接続して印刷したり、スキャンデータを取り込んだりできるのはもちろん、iPhone/iPadとの連携も実現し、より活用幅を広げてくれるインクジェット多機能プリンターとなっている。
光るLED操作パネルや2サイズ用紙の自動切り替えなど親切機能がぎっしり
黒いボックスの上面だけがなだらかな流線型になっている、という印象の「EP-903F」は、いろいろなところが変形して開く。
操作用のディスプレイは7.8インチの大型タッチパネルの中央に3.5インチのタッチカラー液晶が埋め込まれた形で、液晶下部に手をかけて持ち上げると90度まで6段階の角度に調整可能。元に戻す時は左にあるレバーを押すと、ゆっくりと戻る。途中でレバーを離せば、その角度で止まるという構造だ。画面は明るく、タッチの反応も良い。光るLEDガイドで次にやるべきことがわかるから、戸惑わずに操作できるのが好印象だ。
ディスプレイの下にある窪みに指をかけて下向きに開いた内部には、排紙トレイが配置されている。3段階に引き出した後、最後のパーツを上向きにめくるようにして開く。収納時には逆の手順で最終パーツをたたんだ後、本体に向かって押し込むのだが、華奢であるため左右均等に力をかけるなど丁寧に扱いたい。1枚ずつの排紙ならばトレイを引き出さなくとも十分使えるから、大量印刷を行なう時以外は収納しておくのがオススメだ。
「CD/DVDトレイボタン」を押すと、排紙トレイの上部分にCD/DVDへの直接プリント用のトレイが出てくる。さらに、排紙トレイを引き出すために開いたパーツに指をかけて手間に引くと、給紙トレイが現われる。上下の2層構造になったトレイは、2サイズの用紙をあらかじめセットしておくことが可能だ。写真用紙や郵便はがきなど、上トレイにセットした小さなサイズの紙を指定し印刷を実行すると、上トレイが自動的に奥に移動する。また、上トレイが奥にある状態で下トレイのA4用紙を指定して印刷すると、上トレイは手前に移動してくる。自動切り替えで2種類の用紙サイズを併用できるのが面白い。
自動両面ユニットも取り外しができる。背面カバーを取り外してユニットを取り付ければ自動両面機能が利用可能だが、普段は利用しないならば外しておくとすっきりコンパクトに設置できるのが良い。
無線LAN接続ができるモデルだけに、PCの近くに限らず、リビングなどに設置されることも考えられる。その場合に、あまり方々が飛び出している機械的な姿では見栄えが悪い。すっきりと見栄え良く置けることを追求した結果の工夫がぎっしりと詰め込まれているという印象だ。
30枚まで自動スキャンしてくれるADF
飛び出す変形機能の最後のひとつが、ADFだ。上部の流線型部分は複数パーツで構成されており、本体上面の切り欠き部分に指をかけて持ち上げると、右側のパーツが自動的に下がり、フィーダーが現われるという仕掛けだ。原稿の幅に合わせてガイドを調整し、原稿をセットすればスリープ状態でも自動的に認識され、液晶に操作パネルが表示される。
iPadをはじめとする大型液晶搭載のタブレット端末が登場したことで、にわかに脚光を浴びているのが紙媒体をデータ化して持ち歩くという手法だ。雑誌のお気に入りのページだけ取り込んで買い物に持って行きたい、学校や趣味のサークルで配布されたプリントをデータ化してまとめておきたい、というような数枚程度の紙媒体をデータ化して活用したいという人にオススメなのが、ADF搭載複合機だ。
「EP-903F」はインクジェットプリンター、フラットベッドスキャナ、FAXに加えてADFを搭載したオールインワンのプレミアモデルだ。フラットベッドスキャナでは1枚セットするごとに上蓋を開け、原稿を指定位置に置いてスキャンを実行しなければならないが、ADFならばフィーダー部分に原稿を重ねてセットすれば自動的に最大30枚までを連続で取り込んでくれる。対応サイズはA4またはレター。リーガルサイズの場合には10枚までとなっている。FAXもこのフィーダーから送信できるため、SOHOなどで大量のFAXを送信したい人にとっても便利な機能となっている。