Beats Audioの実力は?
ENVY14が重視するオーディオ関連機能を詳しく見ていこう。ENVY14にBeats Audioロゴをつけるに当たっては、HPとDr. Dreは筐体パーツの素材や音の共鳴まで厳密に計算したという。Beats Audioが有効になると、3Dサラウンド効果で音に広がりがもたらされるとともに、低音が強調されて各音素が明瞭化する。簡単に言えば、まさにビートが利いた音、メリハリのある音になるわけだ。
筐体パーツからチューニングしたというだけあり、実際に内蔵スピーカーで鳴らしてみると、小さな前面スピーカーの開口部から出力されているとは思えないサウンドが響く。さすがに重低音は再現されないものの、音空間の広がりがすごい。同クラスのノートと比べると、液晶ディスプレー天板が異様に厚いのだが、共鳴計算の効果なのか、耳を近づけるとそこからも音が出ているように感じられる。
ヘッドホンで確かめても、Beats Audioの効果ははっきりと感じられる。ヘッドホン出力用にもチューンされており、重低音が響く楽曲を大音量で鳴らしても、音ワレや妙な共振音をまったく感じられないのには驚いた。なお、マイク入力端子はヘッドホン出力端子としても使えるため、ヘッドホンを2セット使い2人で聞くことも可能だ。
Beats Audioの効果は付属の統合メディアアプリケーション「HP MediaSmart」のほか、Windows Media PlayerやWindows Media Centerでの出力にもおよぶし、Windows側の作業負荷が増大しても、音にノイズが混ざることもない。
最後にディスプレーについても少し触れておきたい。ENVY14は解像度1366×768ドットの14.5型ワイド液晶ディスプレーを採用する。「ハードコートクリスタルビュー・ディスプレー」と称する光沢タイプのディスプレーパネルで、その表面は大きな樹脂パネルがベゼル部まで広く覆っている。デザイン的には一体感があってよいのだが、反射光が目立つのが残念である。
ENVY14はサイズ的には大きめのCULVノート、あるいはやや小さめの大型ノートと言ったものだが、そこには積め込めるだけのスペックを投入している。それでいて実売価格は13万円前後と、Beats Audioのコンセプト機であることを差し引いても、かなりのお買い得感がある。それに加えてセンスのある独特の風貌と、他のノートに真似できない音へのコダワリを持つ。
企業であれば各種プレゼンテーション用のデモ機として、個人であれば持ち運びもできるオーディオノートとして、今冬の新製品では注目すべき本気の一台である。
HP ENVY14 Beats Edition 量販店モデルの主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i5-460M(2.53GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | Mobility Radeon HD 5650 |
ディスプレー | 14.5型 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 640GB(5400rpm) |
光学ドライブ | DVDスーパーマルチドライブ |
無線通信機能 | IEEE 802.11a/b/g/n、Bluetooth 2.1 |
インターフェース | USB2.0×2、USB/eSATA×1、HDMI出力、Mini DisplayPort出力など |
サイズ | 幅356×奥行き237×高さ30.5~32.5mm |
質量 | 約2.63kg |
バッテリー駆動時間 | 約6時間 |
OS | Windows 7 Home Premium 64bit |
価格 | オープンプライス(実売価格 13万円前後) |
筆者紹介─池田圭一
月刊アスキー、Super ASCIIの編集を経てフリーの編集・ライターに。パソコン・ネットワーク・デジタルカメラなど雑誌・Web媒体への企画提供・執筆を行なう一方、天文や生物など科学分野の取材記事も手がける。理科好き大人向け雑誌「RikaTan」編集委員。デジイチ散歩で空と月と猫を撮る日常。近著は「失敗の科学」(技術評論社)、「光る生き物」(技術評論社)、「これだけは知っておきたい生きるための科学常識」(東京書籍)、「科学実験キット&グッズ大研究」(東京書籍)、「やっぱり安心水道水」(水道産業新聞社)など。
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