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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第56回

デュアルコアAtomでHP Mini 210はどう変わったか?

2010年10月07日 12時00分更新

文● 西田 宗千佳

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メモリー1GBでは足りない
直販モデルなら2GB構成がほしい

 むしろ気になったのは、おそらくはメモリー不足から来ると思われる読み込みのもたつきだ。210-2000は、メモリーが1GBしか搭載されていない。OSも一般的なWindows 7 Home Premiumではなく、ネットブック用のWindows 7 Starterだ。

 メモリーが1GBというのは、昨今のアプリケーションサイズや、ウェブブラウザーでタブを大量に開きながら利用するスタイルを考えると、いかにも少ない。メモリーのスロットはひとつのみで、しかもそれは、すでに1GBのSO-DIMM(PC3-10600)で埋まっている。

 システム上の最大メモリー搭載量は2GBとなっているので、できれば2GBで出荷してほしかった。メモリー容量を変更しての注文もできないようなので、ユーザーが自分でメモリーモジュールを買って交換するしかない。

 ただし、メモリー増設は簡単だ。バッテリーを外すと、1本のネジも外すことなく、底板が簡単に外れるようになっている。自己責任となるだろうが、メモリーやHDDの交換はここから行なえるので、メンテナンス性の面ではとても優れた設計といえそうだ。また、底板のデザインが恐ろしくすっきりしており、美観の面でも好感を持った。

 なお、210-2000にはOSとしてWindows 7のほかに、「HP QuickWeb」も搭載されている。Linuxをカスタマイズした、いわゆる「インスタント起動用OS」で、ウェブやメールのほか、Googleのサービスを活用したスケジュール機能なども搭載されている。こちらもきちんと日本語化されているうえに、確かに起動も速い。設定しておけば数秒で起動するし、Windows側のデータを活用することもできる。

インスタントオン系機能「QuickWeb」。ウェブ閲覧やメールなどができる。日本語化もされていて使うのは簡単。だが、ちょっと動作が遅い

 だが、QuickWebではアプリケーションの起動を初めとした操作感がかなり重く、使い勝手が悪い。これならばWindowsをスリープか休止で使った方がいい、と感じた。


発熱・性能はそこそこ
バッテリー持続時間は納得の結果に

 発熱はどうだろうか? Atom採用のネットブックは総じて発熱が高めだが、210-2000もその例に漏れない。本体左側の排気口に近い部分は、高負荷になるとそこそこ熱くなる。真夏の暑い盛りだと、不快に感じる可能性が高い。

各部の温度 放射温度計による測定、外気温は25℃。フルパワー時はH.264動画エンコード中の測定

 むしろ気になったのは、冷却ファンの音である。ファンは小径のものらしく、音は比較的高めだ。だが、最も激しく回った際でも音の大きさはさほどでもない。筆者が気になったのは、ファンの回転数が変わる時の音の感じだ。

 210-2000は、こまめな排熱に気を配っているせいか、ファンをかなりこまめにコントロールしている。だがその際の音の変化が、ちょっと耳障りだ。高速回転と低速回転をいったりきたりするような感じなのである。極端な言い方をすると、エンジンの空吹かしのような音だ。外出時やオフィスなどなら、気になるほど大きな音ではないが、静かな部屋だとちょっとびっくりする。

 他方、バッテリー駆動時間はかなり優秀な値となっている。カタログ上は「10時間動作」となっているが、通信をしながらのバッテリー駆動時間を計測する「BBench」のテスト結果でも、5時間~5時間半といった値になっている。しかもこの値は、標準添付のバッテリーによるものだ。

BBenchによるバッテリー駆動時間テスト
HP推奨 省電力
約5時間8分 約5時間32分

 「通信をしながら5時間以上」というのは、ACアダプターを持ち歩かず、おおむね1日安心して使えるくらいの動作時間だと考えられる。これが4万9800円で手に入るとなれば、俄然魅力的になってくる。しかも、本体重量は1.38kgとまあまあ軽い。

バッテリーは比較的サイズの大きな、6セルタイプが搭載

バッテリーは比較的サイズの大きな、6セルのものが搭載されているが、出っ張りなどはなくすっきりしたデザインが維持される

 なお、ACアダプターも比較的小さめだ。標準でコンセントに直結できるL字型のコネクターも付属するので、荷物を減らせるのもうれしい。

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