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クラウド時代を「Express5800/ECO CENTER」で乗り切れ! 第5回

VMwareの仮想サーバーとAtomサーバーを徹底評価

仮想 vs.物理のガチンコ対決!Atomサーバーの実力を見る

2010年10月13日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田 元

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I/0に関してはAtomサーバーが強い!

 I/Oに関しては、ファイルサーバーを想定し、2つの試験を行なった。1つ目は、大容量のファイルを生成するというもので、8GBのファイルを両者で作り出し、書き込み速度を測るというもの。もう1つはBonnie++というベンチマークで、連続したランダム・シーケンシャルのI/Oオペレーションを実行するというものだ。

 ここではAtomサーバーの方がかなり優勢だ。大容量ファイルの書き込みを見てみると、Xeonサーバーの仮想マシン1台が場合、Atomサーバーより平均速度は速いが、仮想マシンが2台以上になると、Atomサーバーのほうが優位になる。

ddによる大容量ファイル書き込みのベンチマーク

 また、Bonnie++による細かいI/Oのアクセスも、Xeonサーバーの仮想マシンのパフォーマンスが6台を上限に頭打ちになるのに対し、Atomサーバーは台数を応じてリニアに性能が拡大するという結果が出た。そして、注目したいのはやはり消費電力という点。グラフのように1台当たり約6W程度省電力化が実現できている。

Bonnie++の測定における1台当たりの消費電力

 この結果は決して偶然ではない。ご存じのとおり、サーバーの仮想化においては、複数の仮想マシンが単一の物理サーバーを共用する。VMware vSphere 4のような最新の仮想化環境では、かなり巧妙にリソースの配分を行なうが、それでもI/0を専有する物理サーバーに比べ処理能力が落ちてしまう。処理能力の高いXeonをもってしても、この弱点を補うことはできないわけだ。

ネットワーク性能もAtomサーバーが優位?

 こうした仮想化の弱点は、ネットワーク性能で顕著に表われる。ネットワーク性能に関しては、Apache Benchを用いてクライアント端末6台から、6台のサーバーに対してHTTPのアクセスを行なうという方法で測ってもらった。ECO CENTERが想定するWebのホスティングサーバーでの実利用にもっとも近いベンチマークだ。当初は1台のマシンから複数の仮想マシンに対してリクエストを送る方法を採ったが、クライアントPCのネットワーク帯域の問題で数値が安定しないという事態に陥ったため、クライアント1台に1台の仮想マシンをひも付けるようにしたという。ここでも興味深い結果が現われた。

Apache Benchで計測したさばけるリクエスト数。仮想マシンが増えるとAtomサーバーの健闘が光る

応答時間は当然短いほうが優秀になるので、Atomサーバのレスポンスは秀逸

クライアントからHTTPリクエストを送信した際のネットワーク性能比較でもAtomサーバーは優秀

 ご覧の通り、仮想マシンのリクエスト数やスループットは台数が増えるごとに低下していく。これに対して、Atomの物理サーバーは台数分だけ、リクエスト数を増やすことができ、スループットも向上する。また、応答時間で見ても、1台の仮想マシンとAtomサーバーでは処理時間がほとんど変わらないが、Xeonサーバーでは台数が増えるごとに、処理時間がかかるようになる。

(次ページ、これからは仮想化と物理サーバーのバランスが重要)


 

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