大山さんの「日本ジャンクション公団」でアイデンティティを再確認
―― では、サイトの変遷について教えてください。開始した2002年頃はまだ建造物ブームが起きていませんが、最初の頃の反応はどうでしたか?
デンキ うーん、立体交差についての反響は基本的にないですね(笑)。特に、最初のころはもとから好きだった工場風景や昆虫、植物などの写真も一緒に載せていたんですよ。むしろ、それらのほうが反響を多くいただきましたね。だから、見に来てくれる人も、ジャンクション好きというよりカメラ好きの人が中心だったと思います。
―― 現在は立体交差写真のみに絞っていますね。
デンキ トリガーになったのは、「住宅都市整理公団」の大山顕さん(関連記事)でした。2008年頃に大山さんが「日本ジャンクション公団」を始められたんですが、立ち上げた理由について、どこかで「ジャンクション好きは多いけど、ジャンクションを取り上げているホームページはとくにないよね。だから作りました」と話されているのを読んだんですよ。その瞬間、「ちょっと待って!」と(笑)。「僕もやっていますけど……」みたいなメールを送ろうとしたんですが、すぐに「いや、これ僕がブレてるわ」と思い立ったんです。立体交差中心といいつつ、全然中心になってないなと。
それで、昆虫や植物の写真を見てもらえるのも嬉しいけど、やはり最初のコンセプトどおりに立体交差で勝負すべきだと決意して、他の写真は全部削除しました。
―― なるほど。それで、昆虫や植物などは「立体交差以外中心」に移したわけですね。
デンキ いえ、最初は完全に削除するつもりだったんですよ。そう決意したわけですから。ただ、以前の読者さんから「あの写真はどこに行ったんですか?」「あの写真が見たいです」といった声がけっこう出てきたので、削除から半年くらい経った頃にしぶしぶ「以外」を立ち上げたという感じです。もちろん、反響をいただけるのは嬉しいんですけど、僕の決意が揺らぐのが怖かったんですよね。ただ、今でもコメントをいただくことが多いのは「以外」のほうだったりします(笑)。
―― 建造物ブームが起きた2007~2008年頃でも、ジャンクションの反響は少なかったんですか?
デンキ 掲示板の書き込みはそれほどでもなかったですが、確かにアクセス数は増えましたね。他の写真を別に移したこともあって、まれにですが「ここにいいジャンクション、ありますよ」といったお便りをいただけるようにもなりました。それはとても嬉しいことなんですが、やはり、ジャンクション好きな人のなかでも好みが分かれるんですよね。「ここのジャンクションのカオスっぷりが最高です」と言われても、それを表現する写真は僕では撮れないという複雑な気持ちが出るわけです。僕はカーブのきれいなところを求めているので、このあたりは本当に面白くもあり、申し訳なくもあるところです。
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