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四本淑三の「ミュージック・ギークス!」第36回

「オタクはUKパンク」? 英国記者が見た、日本の音楽文化

2010年09月25日 12時00分更新

文● 四本淑三  翻訳● 盛田諒

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ミュージックギークもうなる日本の歌謡曲

―― だから日本のニューウェイブが好き、と。

イアン でも、ぼくが日本の音楽でいちばん好きな時代はパンクス以前、キャンディーズなんです。それに奥村チヨ、山口百恵……あれが黄金期でしたね。

―― お、奥村チヨ……。ピンクレディーは?

イアン ダメ。セクシーすぎるから。ごめんね、ちょっとオタクっぽいですね。

―― いや、気持ちは分かりますけど。そんな昔の音楽をどうやって探すんですか?

イアン 1960〜70年代の世界のポップスを聴こうと思ったときがあったんです。アメリカやフランス、もちろんイギリスも。そのときに日本のアイドルについても一気に学んでいきました。Wikipediaなんかを使ってね。

▲日本のニューウェイブが好きだというイアンは、P-MODELのカバーをバンドで演奏。何だ日本語できるじゃん!

―― 日本の若い子と同じですね。

イアン 苦労したのは、レコードショップにキャンディーズが置いていないこと。ヨーロッパにはそういったオールディーズをそろえる棚があるものです。音楽考古学者のような店員がいてね。

―― そういうのは通販かボックスセットじゃないと揃わないかな。

イアン 日本ではそういうものは次から次に流れ去ってしまいます。iTunesでもキャンディーズや山口百恵は買えない。それは一部には、メジャーレーベルが音楽著作権というふざけたもの(ファッキンミュージックライツ!)を持っているためとも思います。彼らはそれを売るより、いつまでも権力を持っていたい。それが大きいんだと思います。

※ 山口百恵とキャンディーズの音源はソニー関連のレーベルが管理しており、いずれもiTunesに音源を提供していない。

―― どんどん言ってくれるなぁ、もう。

イアン ですからいま、日本で山口百恵のようなオールディーズのアルバムを買おうと思ってもダメ。代わりにシットなJ-POPミュージックを渡されます。もし今キャンディーズのアルバムが買えるなら、みんな×××なんて買うわけないでしょ! 1000倍マシです。

―― でも、どうして昔の歌謡曲がいいの?

イアン だって、曲の作りが素晴らしいでしょう? ミュージックギーク的に言えばですけど。1960~70年代はヨーロッパのスタイルをコピーしていました。それが「歌謡曲」というジャンルです。演歌にヨーロッパの要素を取り入れたわけですよ。フランスのシャンソンや、ブリティッシュポップを。それはとてもクールなものでした。

日本の歌謡曲について朗々と語るイアン氏

―― へえー、イギリス人はそういう風に聴くのか。

イアン でも、90年代はそれが変わってしまった。カラオケで歌いやすいことがメインストリームになってしまった。音楽といえばラジオではくてカラオケ。そこで聴けて、歌いやすい曲ばかりを聴くようになったんだと思います。

 歌謡曲はブリティッシュポップスの文脈であらわれたものでしたが、J-POPはあくまでジャパニーズ・ポップスです。他国のポップスとはまったく関係がありません。中でもぶちこわしにしてくれた(デストロイ)のが小室哲哉でした。

―― あーっ、言っちゃった!

イアン だってシンセサイザーの音使いもそうですよね? ディープでリッチなアナログシンセユーザーの音とはまったく使い方が違う。それに比べ、キャンディーズのバックバンドとしてやっているベースプレイヤーがどれだけ素晴らしいか! 「ハートのエースが出てこない」のベースライン聴いたことあります? あれ絶対驚きますよ(アメイジング)!

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