もうすぐ登場する日本の電子書籍端末
新KindleとSony Readerから探る電子書籍端末の実力は
2010年09月24日 12時00分更新
全機種タッチ対応でもコントラストが良好な新Sony Reader
勝負は「販売システム」を見てから
Amazon側は公式なコメントを出していないが、出版界では同社の電子書籍販売の日本進出は、「遠からず起こる事実」と捉えられている。おそらくその時には、Kindle 3世代のハードウエアに近いものが利用されることになるのだろう。筆者は特別な情報を持っているわけではないし、持っていたとしたら喋れないが。だが技術的に考えても、Kindle 3にソフトを含めたいくばくかの改善を加えて、日本市場に投入することになるだろう、ということは予想できる。
さてここでもうひとつ、同様に「遠からず日本に登場する」と思われる電子書籍端末を紹介しておこう。それはSony Readerだ。
これまでのページでは、2009年に発売されたSony Reader Daily Editionをご覧いただいた。だがこの機種はすでに「旧機種」だ。現在アメリカでは、新モデルの発売が準備中である。写真は、9月8日に行なわれた「ソニー・ディーラーコンベンション」に展示された、英語版の新型Sony Readerである。
ソニーは「年内に日本市場に参入する」ことを表明している。まったく同じハードウエアになるとは言えないが、新型の機能は、その姿を予想するに十分なものである。
新Sony Readerは、電子ペーパーにKindle 3と同じPearl世代のE Ink製品を採用している。すなわち見た目、コントラストともに、Kindle 3とほぼ大差ない。プロセッサーもやはり強化されているらしく、ページ送り速度も同様に高速だ。
ただし大きく異なるのは、最も安価で小型(5インチディスプレー採用、約155g)の「Pocket Edition」から最上位の「Daily Edition」まで、すべてに「タッチセンサー」を導入したことだ。iPhoneのようなマルチタッチには対応していないものの、指でタップして単語の意味を調べたり、注釈を書き込んだり、指でページをめくったりできる。
2009年のタッチ対応モデルは、おなじみの抵抗膜式感圧センサーを使っていたため、電子書籍端末にとって重要な「コントラスト」が落ちて、かなり見づらかった。だが、新モデルでは赤外線センサーをパネル上部に仕込み、それで指やペンの接触を感知するため、パネルの前にはなんのフィルターもない。だから、感圧でありながらKindle 3と同等のクオリティーが実現されていた。
新型のセンサーを使ったタッチでのページ送りは、ボタンを押し込んだり指を押し込んだりする必要がないため、とても自然だ。Kindle 3は小型化したのはいいものの、ページ送り用のボタンが小さくなったため、片手ではページ送りが押しづらくなっていた。新型Sony Readerはその点では、Kindle 3に勝っている。
新Sony Readerの操作の様子。タッチを搭載しつつ、画質・操作感は大幅に向上している

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