PC Mark Vantage
次に総合アプリケーションベンチの「PC Mark Vantage」を見てみよう。目をひくのは、Phenom II X4 970 BEがPhenom II X6 1055Tを上回る結果を出している項目が多いことだ。1055TはTurboCoreを有しているとは言え、シングルスレッド能力が重要な項目では動作クロックの高い970 BEのほうが有利に働くことが伺える。ユーザーの利用アプリ次第では、970 BEのほうが高い利用価値を持つことになる。
CineBench 11.5
AviUtl H.264エンコード時間
同じくCGレンダリングを行なうアプリケーションベンチの「CineBench 11.5」と、AviUtlを用いてH.264エンコードを行なう動画エンコードベンチは、やはりコア数の多いほうが良好なスコアになっている。レンダリングやエンコード重視であれば、コア数を最優先事項と言える。
消費電力
最後にワットチェッカーによる消費電力だが、公表されているTDPに準じた傾向が見られるが、やはりクロックが上がった分、若干の消費電力増になっているようだ。パフォーマンスを考慮すると、やはり6コアでTDP95WのPhenom II X6 1055Tがかなり優秀である。
1万5000~2万円における選択肢が大きくアップ
クロックの増加も劇的なものではなく、ベンチの結果も順当な傾向ということもあり、少々地味なラインナップ追加に見える。この新製品群は、コストパフォーマンス重視のパワーアップを目指すユーザー層が注目すべきだろう。今回の新モデル投入により、1万円台中盤から後半のCPUの充実度がかなり高まっている。6コアのPhenom II X6 1055Tにするか、コア数と動作クロックのバランスがいいPhenom II X4 970 BEにするか、価格重視でPhenom II X4 965 BEや955 BEという選択も悪くない。このあたりはなかなか悩ましい製品分布になったと言える。
逆にやや微妙な立場なのがPhenom II X6 1075Tだ。Phenom II X6 1090Tの価格はここ1カ月で大きく動き、2万5000円前後まで下がっている。1075Tとの価格差は2~3000円前後と推測され、この性能差と価格差だと最上位の1090Tのほうが魅力的に思えてしまう。もう少し価格が抑えるか、低消費電力といったセールスポイントが欲しいところだ。
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