このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

Apple Geeks 第8回

S.M.A.R.T.情報でMac用HDDのクラッシュに備える

2010年09月21日 22時00分更新

文● 海上忍

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

GUIでS.M.A.R.T.情報をチェック

 現在販売されているHDDの大半は、自己診断機能(S.M.A.R.T.)に対応している。この情報にアクセスすれば、HDD内部に記録された電源投入回数や使用時間のほか、読み書き不能になったセクタ数や書き込みエラー率など、HDDの現在を知らせてくれる。

 S.M.A.R.T.に対応した管理ツールとしては、OS Xに標準装備の「ディスクユーティリティ」が挙げられる。対象のディスク(パーティションにあらず)を選択すれば、ウィンドウ下部の「S.M.A.R.T.状況」にHDDを検証した結果が表示される。しかし、前述した具体的な情報は一切表示されず、ユーザーには”○か×か”しかわからないのが難点だ。フリーウェアの「SMARTReporter」も、この点では大差ない。

ディスクユーティリティでディスクを選択すれば、S.M.A.R.T.に基づくディスクの健康状態を確認できるが……

フリーウェアの「SMARTReporter」。確認できる情報は、ディスクユーティリティと同じ「○か×か」だ

 ちなみに、S.M.A.R.T.のデータから推測可能なHDDの障害発生確率は6~7割程度だという。しかし、リード/ライトのエラー率が上昇したり、不良セクタの数が増えれば、HDDの寿命が近づきつつあると考えても差し支えないはず。あえていうならば「天気予報」に近い存在だが、HDDの換装を検討し始めたり、バックアップの間隔を縮めたりするときの貴重な資料となりうる。障害発生時のダメージが大きいだけに、"○か×か"で済ませるのは乱暴な話だろう。

S.M.A.R.T.をもっと詳しく

 OS Xでは、IOKitフレームワークによりS.M.A.R.T.情報へのアクセスがサポートされている。しかし、HDDに搭載されたコントローラのサポートは、アプリケーション側で対応する必要があるため、最新のベンダー情報に通じたものを選択しなければならない。

 詳細なS.M.A.R.T.情報にアクセスする、という今回の目的にかなうアプリケーションのひとつが「S.M.A.R.T. Monitoring Tools(smartmontools)」だ。GUIは装備されていないが、S.M.A.R.T.情報はテキストベースのため、CUIでも十分に役割を果たせるはず。まずはこちらからソースコード(9月21日時点の最新版はバージョン5.39.1)をダウンロードし、以下の要領でコンパイルしてほしい。

$ tar xzf smartmontools-5.39.1.tar.gz
$ cd smartmontools-5.39.1
$ ./configure
$ make
$ sudo make install

マメにsmartmontoolsでS.M.A.R.T.情報をチェックすれば、HDDのトラブルを未然に防げるかも

 smartmontoolsの使い方だが、ターミナル上で「smartctl」コマンドに適宜オプションや引数を与えて実行すればOK。最低限必要な情報は、全情報を表示する「-a」オプションに、対象とするHDDのデバイス名だ(dfコマンドで確認可能)。OS Xの起動ディスクは、通常は「/dev/disk0」として認識されているはずなので、以下の要領でコマンドを実行すればいいだろう。なお、smartctlコマンドは/usr/local/sbinディレクトリーへインストールされるため、フルパスを指定するかPATH環境変数を設定する必要があるので念のため。

$ /usr/local/sbin/smartctl -a /dev/disk0

「smartctlコマンドで表示される主要S.M.A.R.T.情報」

項目 説明
Current_Pending_Sector 不安定なセクタの数
Multi_Zone_Error_Rate セクターに書き込みしたときのエラー発生率
Offline_Uncorrectable 修復不能なセクタにアクセスしたときのエラー数
Reallocated_Sector_Ctl Read/Write時にエラーが発生し、代替された不良セクタの数
Reallocated_Event_Count 不良セクタから予備領域へデータが移された回数
Seek_Error_Rate 磁気ヘッドのシークエラー発生率
Temperature_Celsius HDD内部の温度

筆者紹介──海上忍

 ITジャーナリスト・コラムニスト。アップル製品のほか、UNIX系OSやオープンソースソフトウェアを得意分野とする。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザーにして大のデジタルガジェット好き。近著には「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊、Amazon.co.jpで見る)など。



■関連サイト

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

ASCII.jp RSS2.0 配信中