テスト環境
それでは、いよいよパフォーマンスを検証していきたい。テスト環境は以下に示した通りで、比較用として上位のGeForce GTX 460搭載ビデオカードと、同じミドルレンジGPUとして人気の高いRadeon HD 5770搭載ビデオカード(価格的には下位のRadeon HD 5750とちょうど同程度になるが)を用意した。グラフィックドライバについては、GeForce系はレビュー用に配布されたGeForce Driver 260.52を、Radeon HD 5770については最新のCatalyst 10.9を利用した。
テスト環境 | |
---|---|
CPU | Intel「Core i7-860」(2.8GHz) |
マザーボード | EVGA「EVGA P55 Classified 200」(P55) |
メモリー | DDR3-1333 2GB×2 |
ビデオカード | GeForce GTX 460(768MB) GeForce GTS 450(1GB) Radeon HD 5770(1GB) |
HDD | Western Digital「WD10EADS」(1TB) |
電源 | Thermaltake「Toughpower QFan 650W」(650W) |
OS | Windows 7 Ultimate(64bit) |
フラフィックドライバ | GeForce Driver 260.52 Catalyst 10.9 |
Radeon HD 5770に迫る性能を実現
3DMark Vantage
グラフ1は、「3DMark Vantage」の総合スコアである。3DMark Vantageは、DirectX 10世代のベンチマークテストだが、かなりGPU負荷の高いテストだ。GeForce GTS 450のスコアは、GeForce GTX 460の約7割となっており、ほぼ理論通りのパフォーマンスが出ているといえる。Radeon HD 5770との比較では、ほぼ互角のスコアになっているが、3DMark Vantageには、旧AGEIAが開発した物理演算ライブラリ「PhysX」を利用するテストが含まれている。旧AGEIAは、NVIDIAに買収されたため、GeForce 8シリーズ以降の製品では、PhysXをGPUで高速に処理するためのPhysXドライバが提供されているのに対し、Radeon系GPUではPhysXドライバドライバが用意されていないため、3DMark Vantageのスコアは低くなりがちである。
次に、3DMark Vantageの個別テストであるFeature Testの結果を見てみよう。以下の結果は、すべて「Performance」設定時のものである。 Feature Test1(グラフ2)は、Texture Fillテストで、テクスチャ転送時のフィルレートを計測するテストだ。GeForce GTS 450のスコアは、GeForce GTX 460の66%ほどのスコアとなっており、Radeon HD 5770にもかなり差をつけられている。
Feature Test2(グラフ3)は、Color Fillテストで、色を変えながらピクセルを塗りつぶしていき、そのパフォーマンスを計測するテストだ。こちらは、Feature Test1よりも、GeForce GTX 460との差が縮まっており、GeForce GTX 460の75%ほどのスコアとなっている。
Feature Test3(グラフ4)は、バンプマッピングをさらに進化させた複雑な凹凸の表現が可能なParallax Occlusion Mappingと呼ばれるマッピングをおこなうテストであり、ピクセルシェーダの演算性能が効いてくる。このテストは、Radeon系が得意なようで、Radeon HD 5770がGeForce GTX 460を上回るスコアを出している。
Feature Test4(グラフ5)は、GPU Clothと呼ばれるテストで、布(旗)が風にはためく様子の物理シミュレーションをおこなわせるものだ。主に、バーテックスシェーダの性能を見ることができる。こちらは、GeForce系が優秀で、GeForce GTS 450がRadeon HD 5770とほぼ同じ結果となっている。
Feature Test5(グラフ6)は、GPU Particlesと呼ばれるテストで、数十万個もの微粒子(パーティクル)を風に乗せて流し、透明な物体の凹凸の様子を可視化するものだ。このテストでは、バーテックスシェーダとジオメトリシェーダのパフォーマンスが効いてくる。このテストも、GeForce系が優秀であり、GeForce GTS 450はRadeon HD 5770よりも12%ほど高いスコアを出している。
Feature Test6(グラフ7)は、Perlin Noiseテストと呼ばれるもので、3つの異なる周波数から演算によって生成されるノイズをRGBの各色に割り当てて表示するものだ。ピクセルシェーダの演算性能によって結果が左右されるのだが、このテストでは、Radeon HD 5770が非常に優秀であり、GeForce GTS 450の2倍以上のスコアを叩き出している。
(次ページへ続く)
この連載の記事
-
第439回
自作PC
暴れ馬すぎる「Core i9-14900KS」、今すぐ使いたい人向けの設定を検証! -
第438回
デジタル
中国向け「Radeon RX 7900 GRE」が突如一般販売開始。その性能はWQHDゲーミングに新たな境地を拓く? -
第437回
自作PC
GeForce RTX 4080 SUPERは高負荷でこそ輝く?最新GeForce&Radeon15モデルとまとめて比較 -
第436回
デジタル
環境によってはGTX 1650に匹敵!?Ryzen 7 8700G&Ryzen 5 8600Gの実力は脅威 -
第435回
デジタル
VRAM 16GB実装でパワーアップできたか?Radeon RX 7600 XT 16GBの実力検証 -
第434回
自作PC
GeForce RTX 4070 Ti SUPERの実力を検証!RTX 4070 Tiと比べてどう変わる? -
第433回
自作PC
GeForce RTX 4070 SUPERの実力は?RTX 4070やRX 7800 XT等とゲームで比較 -
第432回
自作PC
第14世代にもKなしが登場!Core i9-14900からIntel 300まで5製品を一気に斬る -
第431回
デジタル
Zen 4の128スレッドはどこまで強い?Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証詳報 -
第430回
デジタル
Zen 4世代で性能が爆上がり!Ryzen Threadripper 7000シリーズ検証速報 -
第429回
自作PC
Core i7-14700Kのゲーム性能は前世代i9相当に!Raptor Lake-S Refreshをゲーム10本で検証 - この連載の一覧へ